参考文献

『教養としての歴史 日本の近代』(2013.7.21 tanakomo

 

今日は久しぶりの「日本語勉強会」でした。

「日本語教師なら知っておくべき日本近代史」と称して、以下にアップした本を参考文献にして、いろいろと語ってきました。

この本、すごくいいです。5年前に買った本ですが(たぶんexblogのほうでも紹介したような・・)読みやすくて、日本近代史を理解する手助けになると思います。

今日の勉強会のために作ったレジュメの「はじめに」を引用しておきます。歴史の勉強って大事ですよぉ〜、というフナツの気持ちです。

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 日本には歴史嫌いの人が多い。学校教育の弊害かもしれない。歴史を、問題を解くための知識や記号としてしか捉えていないのは不幸である。ある目的達成のために覚えなくてはいけない事項として歴史を捉えるのではなく、教養として歴史を勉強することが不可欠であり、かつそれは楽しい作業であることを知るべきである。まして、日本語教師ともなれば、言語教育に関する知識に加え、自国の歴史を勉強し直すことが教師としてのスキルを高め異文化理解の助けとなるだろう。さらに本来は「通史」として勉強し直すことが重要だが、まず知るべきは、学校教育ではあまり顧みられない「近代史」ではないだろうか。昨今の国際的な摩擦も近代にその端を発するものが多い。議論の前提としての基礎知識をまず構築することが、現代に生きる私たちに望まれているのではないだろうか。
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今、読み返すと、少々気負った書き方をしていますね。
「やっぱ、勉強しなきゃね〜」という気持ちが入ってしまったのでしょう。

そして、この本のカバー裏からも引用しておきます。
この本がどういう本であるかをよく表していると思うので・・。

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「近代化の原動力となった江戸の実力、アジア初の立憲国家として憲法を守り通した意義、韓国から近代化という「青春」を奪った日清・日露の二度の対外戦争—。アジアの小国から世界標準の国家を作り上げた苦闘の道程をたどりながら、著者の卓越した歴史観を通して「日本にとっての近代とは何であったのか」を大胆に整理する。単なる知識ではない教養としての日本近代史入門(全二冊)。
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みなさん、歴史の勉強は楽しいですよー!!

ちなみに、今日一番受講された方々にウケたのが、明治初期に行われた「武士の秩禄処分」。

西南戦争の集結とこの秩禄処分によって、武士というものがいなくなったと言ってもいいでしょう。

 

 

 

 

日本語は進化する』(2012.10.4 tanakomo

 

そしてもし、加賀野井先生の書かれていることがおもしろいと思ったらこちらの本もどうぞ。

さっきの本がエッセイに日本語論を加えた読みやすい本だとしたら、こちらの記述はより専門的です。

『復権』の内容を敷衍して、より正確に、そしてさまざまな資料をもとに実証し、記そうとしているといえます。

こちらのほうが手に入りやすいので、こちらを勧めてもいいのですが、とにかく普通の本に比べて引用が多く、もしこの本が専門書なら当たり前のことなんですが、NHK出版にしてはちょっと書いてあることが専門的だなという感じなのです。

こういう本を読み慣れている人なら大丈夫です。

参考文献も充実しています。

日本語をきちんと勉強したい人へ。

 

 

 

 

日本語の復権』(2012.10.4 tanakomo

 

さてさて、「日本語勉強会」参考文献、3冊目です。

先日の加賀野井先生の、今度は読みやすい、本です。

この本は、どちらかというと日本語論です。「あとがき」にもありますが、同じ講談社現代新書から『20世紀言語学入門』を出された後、加賀野井先生は2年間パリで家族を引き連れて研究生活に送られ、その際に感じた諸外国語と母国語である日本語とをめぐるさまざまなことをもとに、この本にある日本語論の構想を思いついたとのことです。

もちろん「日本語論」というのは、時代を通じてさまざまな著者が、その著者なりのアプローチで試みた、たくさんの書籍があるわけですが、少し違う観点から書いてみよう、ということです。

『入門』のほうが抽象的な言語学の記述であるなら、こちらの本は具体的なレベルで、(著者曰く)「愛憎こもごもの母国と母国語の全体像」を著者なりに記した本だということです。

たとえば著者は日本語についての思いを、こう表現しています。裏表紙から少し引用します。

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甘やかされた日本語 ― 表現能力を察知能力の方が凌駕し、表現よりも表現のポーズの方が珍重されるようになれば、やがては、「第二芸術」のように表現者の怠惰を招き、示唆能力以外の本来の表現能力は低下することになるだろう。私たちはこれまで、「メシ、フロ、ネル」を甘やかされた日本語という観点から論じてきた。しかし、これがまだ甘えから故意にそういう表現をしているというのなら、文化の差だとかなんとか言ってお茶をにごしていればよかったが、表現者の怠惰が幾世代も重なり、実際にこうした表現しかできない世代が誕生してきているとしたらどうだろう。さらにまた、そうした怠惰の許される以心伝心の前提が失われ、表現能力の低下を察知能力が補わなくなってきているとしたらどうだろう。
*****

言葉と文化のからみ、たとえば近代以前の日本語論としての本居宣長、さらに近代における時枝誠記などの日本語論も出てきます。デノテーションとコノテーション、さらには日本語の表記にいたるまで、筆者の語るところはさまざまです。

サイトをクリックして、一度目次を読んでみてください。

たぶん、日本語を教える、日本語をもう一度勉強してみたい、という人なら興味を持つテーマが並んでいると思います。

ただ、ごめんなさい、ちょっと古い本(1999年)で絶版なので、アマゾン(ブックレビューはあくまでも参考に!自分で読まなきゃわかんないですよ!)か古本屋さん、もしくは図書館で見てみてください。

 

 

 

 

日本語教育のための心理学』(2012.10.2 tanakomo

 

さて、「日本語勉強会」参考文献、2冊目です。

先日の本よりは多少読みやすいです。
もちろん読みやすいといっても内容が薄いわけではなく、日本語教師にとって有用な知識がたっぷり詰まっています。

学習者の心理がどうなっているか、に始まり、学習者がどのように言語を処理しているのか、そして効果的な学習指導法とはどんなものであるべきか、それら大きな3つのテーマに沿って具体的な記述がなされています。

海保先生を始めとして、11人の先生方がご専門の領域で執筆を担当されており、引用文献もかなり広範に押さえてあります。

さらに、事項索引も充実しております(事項索引だけを見て、わからない用語の記述部分を読んでいくという手もあります)。

この充実した内容で¥2400は安い!!

日本語教育にフォーカスされていますが、応用心理学や認知心理学、さらには言語処理のメカニズムを具体的にわかりやすく記述してある本、といった視点で読んでもおもしろいかと思います。

少々内容にふれておきましょう。

まずは第一部、1章では知識の獲得ということで、宣言的知識や手続き的知識、短期記憶と長期記憶、維持リハーサルや精緻化リハーサル、さらにメタ認知などの、お馴染みの用語(日本語教師なら全部説明できないとね・・)で説明されています。サピア・ウォーフ仮説も出てきますよ。

3章では異文化間交渉、4章では異文化接触場面における心理学などで、学習者の心理を考えます。

第二部、5章では、まず言葉の機能から入って、チョムスキーの普遍文法や臨界期、さらに子どものことばの発達段階から言語習得について語られ、文の理解過程ということで、トップダウンやボトムアップ、またモニタリング機能などが記述されています。

6章では、第二言語習得のさまざまなモデル説明。7章では漢字の指導を、たとえばパターン認識で説明しています。学習者にとってはゲシュタルトなんですね。

8章、言語習得における母語の影響、9章では「談話の科学」です。ディスコースは押さえとかないとね。(特に、語学教育においてポライトネスやコンテキストの概念を押さえておくことは重要だとフナツは思います)

第三部、10章からはいよいよ学習指導における心理学エッセンスです。さまざまな学習指導、言語処理モデルの概要が語られます。11章の学習の構えでは「ルーレッグ法」と「エグルール法」が出てきます。ははは、横文字ではピンとこないかもしれませんね。演繹法と帰納法です。勉強会で説明しましたよね。覚えてますか?

そして、12章、日本語教育にいかにメディアを活用するか、13章、日本語の能力をいかに評価するか、と続きます。

付録として、SP表の作り方・見方があります(ここは村上先生の執筆でした、大学院時代は大変お世話になりました、ペコリ)。

ざっと内容を概観しました。

日本語教育に携わっている方は、とりあえず座右に(全部読まなくてもいいので)。日本語教育能力検定試験を受験する方は「必」熟読です。

興味のある方は図書館で拾い読み、でいいんじゃないでしょうか。

 

 

 

 

『20世紀言語学入門』(2012.10.1 tanakomo

 

土曜日は「日本語勉強会」でした。参加されたみなさん、お疲れさまでした。

特に、Sさん、Kさん、言語教育に携わってもいないのに、基本的な話といいながらも「言語とは何ぞや」とか、いろんな理論を聞かされて面食らったと思います。

二重分節?ラングとパロール?形態素、何だそれ?って感じだったでしょうね。本当にお疲れさまでした。

さて、金曜日にここでアップしたように、今回の「日本語勉強会」は「言語学」がテーマでした。

いろいろとかいつまんでお話ししましたが、やはり(当たり前ですが)話し足りない、という感じになってしまったので、参考になる本をまたブログでアップしますとお約束しました。

とりあえず一冊目は加賀野井先生の本です。

まず、プロローグとして、ベルクソンやフッサールから始まり、ウォーフやバンヴェニストまで持ち出して、いかに言語学が現代思想に影響を及ぼしたか、から書き始められています。そして第一章、現代言語学の祖、ソシュールに入っていきます。

第二章の構造言語学、プラーグ派や音韻論はつまんなかったら飛ばしていいです(ああ、このあたりの専門家の方々、ごめんなさい、たいへん申し訳ないです)。

第三章、アメリカの構造主義言語学はサピアとウォーフ、そしてブルームフィールドを押さえといてください。第六章のチョムスキーとつながってきます。

第四章は、構造主義について。
レヴィ・ストロースその他について語られています。この章に関しては言語学というより、現代思想における構造主義の位置づけという感じですね。

第五章は記号論です。
このあたりの記述をなんとかしてもらいたいと思います(これが入門書ってか?)が、筆がすべってしまうのでしょうね。(「すべって」というのはいい意味でも悪い意味でも)ここは、ある程度記号論がわかっていると読めると思うのですが・・。

そして第六章は、お待ちかねチョムスキーの生成文法です。この本の記述でで句構造規則や変形規則がわかるかなぁとは思いますが、先日アップした町田先生の本であらかじめ予習しておくといいかもしれません。

最後に第七章で、意味論や語用論、さらに社会言語学にふれて終わります。

興味のあるところだけ拾い読みでもいいかもしれません。

とりあえず現代言語学の概略が知りたい方へお勧めです。

 

 

 

 

『よくわかる言語学(2012.9.28 tanakomo

 

明日の午後(2012.9.30)は「日本語勉強会」です。
今回は、明日紹介する(使う)テキストを先にアップしておきます。

この本はフナツが言語学を教える時にいつも使っているテキストです。すべてとは言いませんが、基礎的な理論がわかりやすく解説されているので重宝しています。

そして、この本のいいところは、「薄い」ことです。(町田先生も籾山先生も、ご自分でこう言っておられたのでフナツも堂々と書きます)

巷には、言語学「入門」といいながら、とても分厚くて、言語学を学んだ後でないと読めないような「入門書」(←ヘンですよね?)が溢れています。

言語学をこの先自分の研究分野として専攻する学生や研究者でないかぎり、「言語学とは何か」をテキトー(失礼!)に、大体のところがわかればいいと思うのです。

でも、大学の先生方が本を書く時はそういうことを言ってられないんですね。たとえ入門書といえども「正確に記述」されてなくてはいけないわけです。

そうすると、<絶対に>記述が長くなる、詳しくなる、くどくなる、わけです。(実は「まえがき」で町田先生ご自身も以前書いた本が入門書のつもりが専門的になりすぎてしまったので・・と述懐されています)

もちろん、この本がテキトーに書いてあるというわけではなく、町田先生籾山先生、御両者とも他にきちんとした著作がたくさんあるわけで、「わかっていて端折っているんですよ、内容はかなり割愛していますよ」というのが許されている初心者用のテキストだということです。

なんか簡単に紹介するつもりが長くなってますね・・。

「言語とは何か」ということを解明するのが、言語学の目指すところです。

その基礎的な理論、たとえば「言語記号」とか「ラングとパロール」などに始まり、「音素」・「形態素」、構造主義や生成文法などの「統語論」、さらに「意味論」まで、明日簡単に解説します。

時間があれば「社会言語学」関連でいろいろグループワークできればいいなと思うのですが、まあそれは無理かも・・。

「日本語とは何か」の前に「言語とは何か」なわけです。

 

 

 

 

『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』

(2012.8.26 tanakomo

 

昨日(2012.8.25)は「日本語勉強会」でした。
参加されたみなさん、お疲れさまでした。
ちゃんと勉強になりましたか?

さて、昨日の勉強会は日本語文法②でした。

前回文法①で説明した格助詞の復習から始まって、テンスとアスペクト、自他の対応、「やりもらい」表現、そしてモダリティとヴォイス、などなど時間の制約もあるので大急ぎで説明しました。昨日が初めての人はちょっとつらかったかも・・。

結局、そういった説明だけで半分以上の時間が過ぎてしまったので、名詞修飾(内の関係と外の関係)や、複文と接続詞などは割愛させてもらいました。

そして説明の最後に「は」と「が」の違いをやりました。
<「は」は主題を表し>、<「が」は主格を表す>に始まって、新情報と旧情報、現象文と判断文、対比と排他、などなど(日本語文法をやった人なら懐かしいでしょ?)を例文で説明しました。

いちおう「指定」と「措定」は宿題にしましたが、頑張って調べてきて自分でも説明できるようになってくださいね。

次に、昨日の勉強会「後半」では、日本語学習者の誤用、特に文法の理解の足りなさからくる誤用に関して、誤用の例を見ながら、これをどう訂正し、日本語学習者に説明していくかをみなさんに考えてもらいました。

わからない人はさっぱりわからないと思うので、日本語学習者が思わず間違って発話してしまうような例文を書きますね。

たとえば、
①私が田中さんのところへ来ます。
②店員さんに代金をあげました。
③叔母が私にセーターを送りました。
④いすに本があります。
⑤煙が煙突を出ている。
⑥昨日はとても寒いでした。
⑦「来週の飲み会に行きますか?」「はい、そうです」

さあ、どうでしょう?
なんか微妙に間違いといえないんじゃない、なんて言っててはだめです。

これらの文の何が間違っていて、なぜそれがいけないのか、日本語を勉強している人(あまり日本語がわからない、理解できない人)たちに、やさしい日本語で文法の説明ができないと日本語を教えることは難しいと思います。

もちろん、ごく普通に日本に暮らしている日本人がこういった間違いを説明できる必要はありません。

でも、外国の人に日本語を教えようと思ったら、わかりやすく日本語の文法の説明ができなくてはいけません。

昨日はこのあたりをみなさんでワイワイ言いながら勉強してました。

えーと、答えが聞きたいですか?
では、たとえば、(間違っている学習者が初級レベルか中級レベルかでも説明の仕方は違うのですが、簡略化して書きます)

①私が田中さんのところへ来ます。
「行く」と「来る」の違い、「来る」が使えるのは自分がいるところ
②店員さんに代金をあげました。
店員にお金をあげたのではなく、商品と引き換えただけ
③叔母が私にセーターを送りました。
「送る」という動詞には、自分から離れていく方向性がある
④いすに本があります。
「ある」はある程度の広さの場所に使う
⑤煙が煙突を出ている。
出るところに「を」が使えるのは意思的な場合
⑥昨日はとても寒いでした。
「です」を「でした」にして過去を表すのではなく、「寒い」を過去形にする
⑦「来週の飲み会に行きますか?」「はい、そうです」
述語が動詞のときは、動詞を繰り返すのが普通、「そうです」といえるのは名詞が述語のとき

そして、このような文法の説明ができるようになるために勉強するときの本が、以下にアップする本です。上記のような説明はすべてこの本に書いてあります。

名著であります。

日本語教師、日本語ボランティアを目指す人は、すべからくこの本で「文法を教える」勉強をすべし!!

 

 

 

 

『「は」と「が」(新日本語文法選書1)』

(2012.7.22 tanakomo

 

昨日(2012/7/21)は「日本語勉強会」でした。
来てくれたみなさんありがとうございます!!

そして、
ちゃんと勉強になりましたか??

昨日は「文法①」ということで「日本語文法」をやりました。
実は、日本語学習者からの文法に関する質問ってすごく多いんですよね。常日頃そんな質問に悩まされているだけあって、昨日はとてもいろんな質問がありました。

たとえば、
「別のを持ってきてください」と「他のを持ってきてください」の違い(まあ、これは意味の違いともいえるので文法というより意味論だけど・・)、これを読んでるみなさんわかりますか?

それから、
ごく普通の日本人の発話「私リンゴ食べる」といった、なぜ助詞が省略されるのかの理論的な説明が欲しいといった中国語話者からの質問。

そして、トピックとしてフナツが紹介した「そうだ①②&らしい①②」とか、

「そうだ①」→「このケーキはおいしそうだ」
「らしい①」→「カレは男らしい」

「そうだ②」→「このケーキはおいしいそうだ」
「らしい②」→「カノジョは(どうも)男らしい」

上記2つの違いがわかりますか?(意味、及び形式)

なかなか母国語の文法を説明するのは難しいものです。

なぜかというと、人間は母国語であれば、瞬時に間違いを指摘できて正しい言い方ができるからです。つまり、感覚なんですね。

だから、日本語がわからない人にきちんとわかるように説明せよと言われてもわからない。

母国語の文法なんて、理論的に説明されて理解したものではなく、日常の暮らし(コミュニケーション)の中で、もう身体に染み付いちゃってるものだから「なぜそうなるの?」と言われてもなかなか答えられないんですね。

でも学校で文法を習った気がする、という人もいるでしょうが、まず何を習ったか覚えてますか?「えー、何を習ったっけ??」という人が大半だと思います。

さらに、あの「学校文法」というのは、橋本進吉という偉い学者(東京帝国大学教授)が、フランス語の文法を元にして分類・体系づけたもので、決して日本語独自の分類ではないのです。

おまけに、学校文法は日本語がペラペラ、つまり日本語母国語話者に対して説明するものであって、日本語がさっぱり分からないという人に向けてのものではないのです。

よって、1980年代に日本語教育が発展した頃、日本語を教えるための文法「日本語文法」が新たに作られたわけです。

「学校文法」と違って「日本語文法」は、日本語を外国語として勉強する人にちゃんとわかるように、日本語を分類・体系化したものです。だから、日本語の文法を感覚的にとらえている日本語ネイティブとしては、勉強し直すしかないというわけなんですね。

おお、書いているときりがないぞ、また改めて日本語文法に関しては書きますね。

さあ、今日取り上げる本は、「は」と「が」の違いを一冊の本にしたものです。「は」と「が」の違いはとても興味深いです。

フナツの知り合いの、ある大学の先生(アメリカ人)は、日本語ペラペラで奥さんが日本人で、そして日本文学についての博士論文を書くくらいの人ですが、いまだに「は」と「が」の使い方を間違えます。

ちょっと、そこの人!!
「は」と「が」は主語を表す、なんて覚えてるんじゃないでしょうね?

「は」と「が」は明確に違います。さらに、日本語文法においては、「日本語に主語はない」とされています。

ちなみに、有名な文ですが、「ゾウは鼻が長い」の主語は何?
この文には「は」も「が」も両方入っています。

それから、桃太郎の最初のフレーズを言ってみてください。
どうして最初が「が」で、次は「は」なんでしょう??

 

そういうことがこの本に書いてあります。

 

 

 

 

『日本語教育学』(2012.6.30 tanakomo

日本語教育についての基本的な話が書かれている本です。

 

ちょっと目次を引用してみます。

 

序章 日本語教育はだれのものか

1、日本語教育を必要としているのは外国人だけではない

 1−1、なぜ外国人は日本語を学ぶのか

 1−2、日本語を学べば小ニュニケーション問題は解消するのか

 1−3、異文化間コミュニケーションについて学校でも教えるべきである

 1−4、日本人もコミュニケーション能力を必要としている

2、日本語教育は日本語教師だけがするものではない

 2−1、学校だけが日本語を学ぶ場ではない

 2−2、広い意味での日本語教育はだれにでもできる

3、なぜ日本語教育を行うのか

 3−1戦前の日本語教育

 3−2戦後の日本語教育の制度化

 3−3、地域社会における日本語教育

4、日本語教育はだれのものか

 

第Ⅰ部 何が学習されなければならないのか

1、日本語能力とは何か

2、スキルとは何か

3、学ぶことを学ぶ能力

 

第Ⅱ部 学習はどのように起こるか

1、認知心理学的視点

2、ヒューマニスティック・サイコロジーの視点

3、フレイレ的教育学の視点

4、状況的学習論の視点

5、普遍文法の視点

6、第二言語習得研究の歴史

7、第二言語習得研究の現状

 

第Ⅲ部 教師の仕事

1、教師の役割

2、異文化間コミュニケ―本と日本語教師

3、アクション・リサーチ

4、教師の一日

 

どうでしょう?

興味のある部分はありましたか?

特に序章の

・日本語能力を必要としているのはだれか

・日本語を教えるのはだれか
・なぜ日本語教育を行うのか

は必読です。


ぜひ、尾崎先生の書かれた序章の論点のまとめ(13ページ)だけでもまず読んで、日本語を教える気持ち、情熱を新たにしてください。

 

 

 

 

『日本人の知らない日本語3』(2012.6.28 tanakomo

 

これはコミックのほうにもアップしてあります。

 

勉強会に来る人でこの本を知らない人はいないと思いますが、日本語教育に関係ない、いくつかの学校やセミナーで話したらけっこういろんな人にウケたので、アップしておきます。

個性たっぷりの外国人生徒と、日本語教師・凪子先生の奮闘ぶりを描いた、なんとシリーズ190万部のヒット作品です。

先日このブログで「日本語勉強会」(フナツがガイド役になって、日本語教師の卵、ボランティアで日本語を外国の人に教えている人、単純に日本語そのものに興味がある人のための勉強会)のことを少し書いた時にもふれましたが、日本人だから日本語のことがわかっているとはなかなかいえないようです。

みなさんは以下の違いを説明できますか?

・「うれしい」と「楽しい」の違い(一緒だ、って言わない!)
・「時々」と「たまに」の違い(一緒じゃないです!)
・「教えて頂けますか」と「教えて下さいませんか」(同上)
・「さしつかえなければ」と「おそれいりますが」(同上)

けっこう難しいでしょ?
でも学生から聞かれたら先生としてはプライドをかけても答えなきゃいけない。だから日本語教師は毎日勉強。

思わず笑ってしまうようなエピソードも描かれています。

先生:「ばつが悪い」という言葉の意味がわかりますか?
学生:あ、もしかして、「丸は良い」

学生:先生、アラフォーって何ですか?
先生:「四十歳前後の人」という意味です。
学生:ああ、「あらかた四十歳」の略ですか。
(アラウンドフォーティーの略です)

問題:空欄に共通して入る言葉(五文字)を書きなさい。
・好きな人に○○○○○をあげました。
・誕生日○○○○○をもらった。

学生の答え:オミヤーゲ

日本語の勉強って楽しい!!

 

 

 

 

『認知言語学の基礎』(2012.6.4 tanakomo

 

1996年出版と少々古いですが、認知言語学の入門書としてはとてもおもしろいです。

本の紹介にも書いてありますが、ラネカの認知文法論やレイコフの認知意味論などの基本的なところもわかりますし、認知言語学とは何ぞやというところがわかりやすく書かれています。

第一章と第二章だけでも読んで、キーワードや基礎理論を押さえておけば、とりあえず認知言語学の考え方がわかると思います。

さきほど手に取ってページをめくっていたら、自分でマーカー入れたとこや付箋が貼ってあるところなど、なかなかいろいろと懐かしいです。

 

 

 

 

『楽しい日本語学入門』(2012.4.29 tanakomo

さきほどの本が専門的すぎてちょっと、という人にはこちらがお勧めです。中村先生はずっと早稲田の日本語教育研究センターにいらっしゃった先生で、他にも著書多数です。
ちなみに、さきほどの庵先生は一橋大学の留学生センター准教授です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『新しい日本語学入門 第二版』(2012.4.29 tanakomo

 

全般的に日本語のことを解説している本を紹介します。


この本は、一般教養としてではなく、教える際に必要な専門的な知識をある程度網羅しているという内容の本です。

以前、私の講義に出席してくれた方々には紹介しましたが、内容を見直し、新しい項目を入れた第2版が出ました。

一度本屋さんで手に取ってご覧になることをお勧めします。
「これは私にはまだ早い」とか「うん、買って勉強しなきゃ」と思うか、人によってさまざまでしょう。

庵先生とは研究会や合宿で何度かご一緒しましたが、最近はとんとご無沙汰しています。でも着々と実績を上げられているようでフナツも頑張らねばと思います。