『兵士は起つ』(2013.3.15 tanakomo)
いやいや、本に感動することは多々あっても、書評に感動するなんてなかなかあるもんじゃない・・。
突っ込みどころはたくさんあるし、論理的にどうかと思う部分はありますが、こういう書評が「本を売る」のだと思います。
以下にアップした本に関して、鈴木邦男さんという方が書かれた書評を引用します。
雑誌AERA 2013.3.18 (74ページ)
<book 鈴木邦男 読まずにいられない>より、
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日本に自衛隊がいてくれて本当によかった。そう痛感した。涙で読んだ。東日本大震災での救助活動、遺体捜索、原発対策・・・・。自分の家族のことを心配しながら、それでも「自衛官としての使命感」を最優先させた。「自分たちを待っている人のもとに一刻も早く駆けつけなければ」・・・・と。
だが自分の家族のことが気になる。「任務にすがることで彼らは平静を保っていたと言える。人々を救助することが彼ら隊員の心も救っているのだ」と著者の杉山隆男氏は言う。ここまでの境地になれるのか。もう<奇跡>だ。
「仕事と私、どっちが大切なの?」と妻に問われた森田一尉は、ためらいもなく答えた。「家族より部下が大切だし、部下より国民が大切だ」
よく断言できたものだ。そんなプロ集団によって我々は守られている。と言って、彼らは冷たいのではない。熱い心を持った集団だ。親子三人の遺体を発見した時だ。父親、そして三歳くらいの子どもの手を引いた母親・・・・。
<それを眼にした瞬間、八子二曹は涙が止まらなくなった。流れるのではない。「ぼろぼろ」落ちてくるのである。その場にいた同僚たちも全員、「ぼろぼろ」泣いていた。しゃくりあげる隊員もいた>
極限状態で、熱い心を持って戦っている。これは最も過酷な<戦争>だ。「敵」は宣戦布告もしないし、交渉・停戦にも応じない。世界はこの敵との戦いに否応なく直面する。
長い目で見れば、これからは国と国との戦争は減るだろう。しかし、この「敵」との戦いはよりはげしく、より広範囲になる。長期戦になる。自衛隊は、外国からの侵略に備え、と同時にこの敵との戦いに備えて命がけの訓練をしてきた。だからこそ戦えた。人は殺さない。人を救うことを最優先してきた自衛隊は、「普通の軍隊」を超えた。進化した。「戦争をしない」ことにコンプレックスを感じる必要はない。世界の軍隊の進化した先のモデルとして自衛隊がある。もっと自衛隊に誇りを持っていい。改憲して、自衛隊を「普通の軍隊」にするなんて、やめた方がいい。一つくらいは日本も、世界に誇れるものがあってもいいのだから。
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「人のふんどしで相撲をとらないように」という声が聞こえてきそうですが、みなさんにこの書評を読んでほしくて・・。
フナツも読んだ本の紹介をここでやっていますが、こんなふうには書けない。
これくらい感情的に、そして自分の主張を入れた書評は、無骨なだけに(たとえ論理の破綻があっても)人の心を打つのですね。