柔らかめのビジネス本③

『成毛眞の本当は教えたくない意外な成長企業100』(2014.10.7 tanakomo)


成毛眞さんは、以前ココで紹介した『日本人の9割に英語はいらない』(フナツ絶賛!)の著者で、日本マイクロソフトの元社長であり、投資コンサルティング会社を設立され、現在活発に執筆活動もされている方です。

そんな目利きが書いた、これからの日本で生き残っていくと予想された企業100社です。

この本はいくつかの章に分かれています。
章の題名を引用しますね。この目次からも成毛さんの視点が見えてきます。

第1章 東京五輪開催に向けて伸びる企業
第2章 新たな製造拠点に積極投資する企業
第3章 何世代も続いてきた超長寿企業
第4章 グローバルニッチトップ企業
第5章 地方の“ミニ東京”を形成する企業
第6章 成毛眞が注目する前途洋々企業

成毛さんは「変化への対応」がカギだと言います。

ちなみに、第3章に名古屋の「岡谷鋼機」が入っていたのはちょっとうれしい(あ、とても個人的な感想なので気にしないでください)。

おわりに、の最後を引用しますね。この本の勘所です。
***
 とはいえ、投資指南書や就活会社案内を書いたつもりではない。もちろん、そのように活用していただくことはやぶさかではないのだが、著者としては、この本を読んでこれから起こる変化を体感してほしいのである。もし、その変化を詳細に解説する本を池上彰さんが書かれたら、是非とも読んでみたいと思っている。ただ、本書のように企業事例を体感することで、むしろ全体像を感覚的につかまえてもらう必要もあるだろう。本著も版を重ねて改訂し、変化したいものである。(P.194)
***

就活中の学生諸君やビジネスマンの方々に、自分の仕事や会社の「これから」を考えるヒントとして読んでほしいと思います。

今、このアップのためにアマゾンのサイトのURLを引っ張ってきましたが、相変わらずカスタマーレビューには頓珍漢な傲慢コメントがありますね。

ぜひそちらも読んでみてください。
この本は投資用の企業情報の本なんかじゃないと思いますが、何を期待して読んだんだろうというコメントがズラリです。

ひょっとして本当にこれから成長する企業の「秘密の情報」が書いてあるとでも思ったのでしょうか・・・。普通に本屋さんで売ってるのに・・・。

「タイトルだけで売ろうとしている安っぽい本」って・・、それにつられて買って読んだのはお前やろ〜、って突っ込めそうな笑えるコメントもあります。(おっと、人の悪口言ってると倍返しされそう)

みなさんも「へぇ〜、こんな会社があるんだ」って感じで読んでくださいね。変化していく企業像を大づかみにつかむって感じです。

就活中の学生はどうしても自分のわかる範囲内の限られた情報(TVのCMとか)で企業を判断してしまいがちだし、ビジネスマンも日々の業務に追われてどうしても業界内にしか目がいかず、視野が狭くなりがちだと思います。

「こんなことウリにしてる会社があるんだ!うちでもいけるんじゃない!」なんて発想があるといいですね。




『はじめの一歩を踏み出そう』(2014.9.16 tanakomo)


久しぶりにビジネス書の紹介です。(長いです、あ、いつものことですね、すいません)

仲良しのOさんから教えてもらってすぐに買ったはいいんですけど、先に読まなきゃいけない本や、やらなきゃいけないことが山積していて、やっと読めました。

いちおう(宣伝じゃないんですが)本の帯から引用すると「世界20か国で翻訳 全米ベストセラー」なんだそうです。

巻末の「訳者あとがき」に、「1986年に初版が発行されて以来、改訂新版を含めて全世界で百万部を超える売上実績をもつ、隠れたベストセラーである」とあります。

もう少し引用しますね。
***
また米国の起業家向け雑誌「Inc.」誌が成長企業500社のCEO(最高経営責任者)を対象に実施したアンケートでも、『7つの習慣』(第二位)『ビジョナリーカンパニー』(第三位)といった著名な作品を抑えて、ビジネス書の第一位に選ばれている。このような広い支持を集めているのは、スモールビジネスの現場に精通した著者の視点が共感を呼んでいるという証拠といえるだろう。(P.269)
***

ふむふむ、って感じです。

ただ、「Inc.」って雑誌がどの程度アメリカで影響力を持っているのかなぁ、とかって考えたり、ちょっと脇道にそれますが、ハリウッド映画で、あまり興行成績が良くなくて、話題やウリが少ない映画の宣伝文句によくあるのが「全米が泣いた!!」って言葉で・・、どうもアメリカ発、アメリカでメチャ売れたからスゴく良い本かというのも最近疑問で・・・。

おまけに、アメリカ風のマーケティングが100%いいってわけじゃない、必ずしも賛同できないって人も多くなり、確かにマーケティングは株式会社の発展、右肩上がりの成長が約束された資本主義を肯定する社会なら有効だけれども、そうではないことも増えてきたわけで・・。なんてブツブツ言いながら最初は読んでました。

いずれここでも書きますが、みなさん!!「株式会社という形態はもう終わりじゃないか」ということを主張する本が多く出版されています。どれもみな一考に値する内容です。

民主主義は最悪な政治形態だけれども、他に代わりがない以上続くだろう。資本主義はかなり終わってる。株式会社は当然すぐには変わりようがないので存続していくだろうが、アメリカ的(株主の利益がすべてという)株式会社という組織は変化していかないと生き残れないのではないかとフナツも薄々感じています。

閑話休題、この話題に関してはまた書きますね。

さて、また前置きが長い(tanakomo読者なら慣れている・・、はずですよね、ははは)。

とブツブツ心の中でつぶやきながら読んでいたんですが、読み進むにつれて、「コレはなかなか」って感じで印象が変わってきました。

簡単に一言で言いますと、
「フナツが最初のお店をオープンしたときにこんな本が欲しかった!!」
「フナツが最初に会社を設立したとき、この本に巡り会いたかった・・・」
であります。(二言か・・)

もちろん、大企業にお勤めの方、これから起業しようという方、いつかは自分のお店をオープンしたいなぁ、と考えている方にもお勧めできます。

しかし、この本を必要としているのは、この本をぜひ読んだほうがいいといえる読者層は、

「起業したんだけど、このままでいいか悩んでいる」
「起業したはいいけど、もう資金繰り、従業員の雇用、その他トラブルばかり」
「起業して数年経つけど、もう倒産しそう、もしくは、もうすべてヤメてしまいたい」

そんな人たちです。

そういう意味において、この本は素晴らしい!
その手の本って実は少ないんです。

起業のためのノウハウ本はたくさんあります。
企業経営に関して、マネジメントに関して、その他ビジネス書は山ほどありますが、スモールビジネス、日本でいうなら起業したばかりの小企業や経営がうまくいってない中小企業は、やはりそういった本と同じくらい山ほどあります。

アメリカでは「独立・起業する人」が日本よりはるかに多いので、あまり参考にはなりませんが、なんとアメリカでは「毎年百万人以上が会社を立ち上げる一方で、一年目に40%の会社が、5年間では80%以上、つまり八十万社が姿を消している。そしてたとえ5年間生き延びたとしても、次の5年で残りの80%が姿を消す運命にある」そうです。

この本がベストセラーになるはずです。
この本に巡り会った起業家がこの本を読んで生き延びて、アンケートに良い本だと回答したのできっと一位になったのでしょう、と思わせます。

この本が、そういった問題点の克服のために書いてあるポイントはとてもシンプルです。そのシンプルさが素晴らしい。

たとえば、ポイントその1、
「大半の起業家が失敗に終わる理由を知る」

シンプルでしょ。
たいていのビジネス書には「成功するノウハウ」が書いてあるんです。

でも(起業してとりあえずはその会社を未だに所有している立場から言わせてもらうと)、成功のカギは多分に運やコネクションやその起業家のバックグラウンドなどに影響されるところが多くて、すべての起業家に適用できるような普遍的なものは少ない、つまりケースバイケースというところが多いと思うのです。これをやったら必ず成功します、なんてのはない。

しかし、失敗の要因というのはかなり普遍的です。
「どうしたら失敗するか」はけっこう簡単。

そして、その失敗の原因を説明するのに、三つのキャラクター「起業家」「マネジャー」「職人」が同じ人の中に存在し、事業を立ち上げようとする人は三重人格者である、と書いてあるのがなかなか秀逸です。この分析はとてもわかりやすいですね。

そして、独立してお店を構えようとする人はたいてい「職人」型だというわけです。

う〜ん、この指摘は痛かった・・・。

そうなんです、職人さんには失礼だけれども、職人さんに企業経営は難しい。

雇われ仕事、もっというならその職人さんに適した仕事を割り振ってもらって環境を整えてもらって資金面でも不安のないようにしてもらって、それで初めて職人さんは存分にその持つ「力」をふるえるようになる。そうすると素晴らしい仕事ができる。

職人さんは経理が苦手だったり、銀行とうまく折衝するのも上手じゃなかったりします。それでは企業経営はうまくいかない。

じゃ、どうしたらいいの??

はい、フナツはこの本の一部分をピックアップしただけです。
興味を持った方はぜひ読んでみてください。

そしてこの本は読みやすいように「対話形式」つまり会話で書かれています。これもいい。

著者と対話するのは「パイが大好きで、とても美味しいパイを作ることができる」サラという女性です。美味しいパイをみんなに食べてもらいたくてお店を持って独立します。「あなたの作るパイなら絶対成功するわよ」なんて友達に言われてその気になった・・・。

しかし、いつの間にか、よくあるスモールビジネスの罠にはまってしまいます。

従業員が突然辞めてしまう、毎晩お金の計算、その後次の日の仕込み、朝からパイを焼き、店の掃除やお客さんへの対応など時間がいくらあっても足りない、おまけに借金があって余裕がない・・・。

そんなサラに著者はどんなアドバイスをするのでしょう。

日本とアメリカでは商習慣もビジネスの形態も少々違うので全面的に賛同できるわけではありませんが、悩める元起業家の方たちにお勧めの本です。




『金融市場を操られる絶望国家・日本』(2014.5.6 tanakomo)

 

久しぶりの副島さんの本です。

国際金融とか、日本の株がどうなるとか、ユーロやアメリカ経済とか、余剰資金をどう運用しようとか、そういったことに興味がない人はスルーしてください。

まず興味深かったのは、ここ数年のご自分の予測(ドルの下落&金価格の高騰)がはずれていることに関しての理由(言い訳?)です。

それがこの本の題名であり、この本を書いたモチベーションであったわけです。本の帯にもあるように、現在株式市場や金市場において、強引な市場操作がされている、それも国家によって。

たとえば、アメリカが金の価格を下げたいというのは副島さんの解説でわかります。

アメリカが他国から預かり大量に保有している(ことになっているが、それはもうとっくになくなっていると副島さんは書くのですが・・)「金」(きん)の地金を、各国がお金払うから返してくれといったときに、昔の約束の金額(めちゃ安い)では返せない。だったら現在高い水準で動いている金の価格を強引に下げてドルの価値を相対的に高めれば、ドル紙幣なんて刷ればいいわけですから、アメリカはまだ安心していられる。

でも、そんなわけにはいかない、古来貨幣として装飾品として、そして流通しやすい価値の高い貴金属として君臨してきた「金(きん)」の価値が不正な統制によって下がるわけがないと副島さんは言います。

一時的にアメリカの操作が成功して金価格が下がろうとも新興国をはじめとした他の国が黙っちゃいないと・・。

それから、株式に関しても、私たちが薄々感じていることを副島さんはきっちり指摘してくれています。

日本の株は政府が強引に上げている、景気が悪くなっていることを国民に知らせない。アベノミクスは成功していると喧伝しないと内閣がつぶれてしまいます。

先日(4月16日付新聞発表)麻生財務大臣が日本の年金としてとってあるお金を使って運用し始めるから外国人投資家も戻ってくる(日本の株は上がるから買いだよ)と発言しました。

これには、フナツがいつも紹介しているぐっちーさんも呆れ果てていました(アエラの記事)。投資家のみなさんは、麻生大臣がここまで言わされていることに(日本経済大丈夫か?と)心を痛めていますし、ましてやこれから年金をもらうことになっている国民はもっと怒るべきでしょう。オレたちの年金を博打につぎこむなって。

本来、将来の年金支払分としてとってあるお金はものすごく安定した運用を義務づけられています。当たり前です。「すいません、運用に失敗して半分しか残っていません」じゃ許されません。たとえほとんど増えなかったとしても、減らずに残っていることが前提です。

なのに、そのお金を株式市場につぎこむことまでしなくては日本の株はもう上がらないと宣言しているのと同じです。

アベノミクスが虚像だとずっと前からここに書いてきましたが、いよいよ日本経済は今のままでは悪くなっていくばかりですね。

ちなみに、みなさん、今株式で儲けているところはどんなことをやっていると思いますか?

超高速のロボット・トレーディング(1000万分の1秒で取引を繰り返すもの)で、とにかく一日あたりの株価変動のわずかな差額から利益を出しているのです。

保有している株が長期的に上がるとか下がるとかの予測などではなく、市場を操作することで(操作される情報を得ることで)各保有株式が激しく乱高下する、その変動幅を最大限に利用して利益を得る。上がっても下がっても儲けが出るよう、常に売りと買いの両建てで激しい取引を繰り返しているのです。

そんなモンスターマシンと対等に戦えるわけがない。

うーん、この調子では終わらないので、適当に端折りますが、ちょっと前から急激な円高を食い止めるために政府の口先介入、とか、リーマンショックのときに「金融システムを守るために銀行に資本注入します」とか、あげくのはてには金融緩和と称してとにかくお金をばらまいているという操作の数々を私たちはなんとなく「そんなもんかぁ」と見逃しています。

でも、言ってしまえばこれらは結局国家による市場への介入に他ならないのですね。自由市場って誰が言った?経済学では市場の原理に基づいて経済が動くって言ってなかったか?

まあ、いいです。フナツに何ができるわけじゃない、細々とセミナーなどでビジネスパースン相手に警告できるくらいです。

だからこそ、自衛しようと副島さんは言います。
日本政府がこう来るならこう動こうと・・・、アメリカがこういう戦略をとるなら、こんなふうに動いて傷を負わないようにしよと・・・。

この本を紹介するためにアマゾン和書のURLをひっばってきましたが、その際にレビューをちょっとだけ読んだのですが(やっぱりちょっとだけ不愉快になってしまいましたが)、そこに「株式暴落を予言するのに巻末に推奨銘柄として日本の一流大企業を並べたのはいかがなものか」とありました。

フナツなりに解釈すると、国際経済で何があろうと、どんな不景気になろうと、人間が求めるものはあるし、買うものはある。地道にきちんと商売していれば、どれだけ国家が傾こうときちんと事業を進めていけるということではないでしょうか。

甘いと言われそうですが、身近なものにたとえるなら、美味しいものを安くきちんと毎回出す清潔な飲食店があれば、お客さんは見放すことはない。好景気不景気に関係ない商売ができると思うのですが・・。

ちょっと脇道にそれました。
最終章では、なぜ安倍首相の靖国参拝が世界の非難を浴びたのかの解説もあります。

先日ここにアップした日高さんの本の解説よりももっとわかりやすいかもしれません。

 

 

 

 

『アメリカの大変化を知らない日本人』(2014.4.24 tanakomo)

 

長いです。(国際政治に興味のない人はスルーでお願いします)

オバマさん、いったい何しに日本に来たんでしょうね・・・。

美味しいお鮨につられちゃったのかなぁ(んなわけないと思いますが・・・)。

きっと安倍首相やその他の政治家に「来てくれなきゃ泣いちゃう」とかせがまれたんだろうなぁ・・。だって出た成果が「尖閣問題」を始め「継続を確認する」とか「共通の認識を持つ」っていうのばかりだしなぁ・・。「口約束上等!」ってのばかり。

尖閣問題だって、
「ねえねえAクン、Cクンってさ、ボクの席のほうにすぐちょっかい出してくるんだよ、何とか言ってやってよ、ねぇ、Aクンったらぁ」
「(はぁ?そのくらい自分で言えよな、ったくもう)わかった、わかった。『オイ、C! Jはオレの子分なんだからな、あまりちょっかい出すと怒るぞ!』これでいいだろ」
「ありがとぉー!だからAクン大好きっ!」
だもんなぁ・・。

おまけに、蓮なんとかっていう(まだいたんだ?ビックリ)議員たちが、「オバマ先生!アベクンたち、ズルしてるんです!そんなのダメだって叱ってやってくださいっ!」ってオバマさんに迫ったらしい。

脱力・・ですね。

そんなのオバマさんに関係ねーよ!そもそも何でオバマさんに言うんだよっ!って、誰か言ってやってよ、もう・・・、という感じです。

オバマ大統領はもうはっきりしてますが、民主党(アメリカの)そのものが伝統的に中国寄りで、アメリカで民主党が政権を取ったら日本はイジメられる、これ定番です。

それに、シリア、ウクライナ他、日本ではあまり知られてませんが、アフガニスタンなどでのオバマ大統領の失態(&権威失墜)は、EUおよびアメリカ国内では有名で、「今さらオバマに何ができる」と思われているのに・・・。国内でも、これ以上ないってくらい財政赤字膨らませて総スカンくらっているのに・・・。

今日のニュースでもやってましたが、オバマさんに優しくしてもらった安倍首相のはしゃぎようと言ったら・・・。

あ〜、脱線してますね。
それにこのブログに政治的な話題はあまり持ち込まないようにしてるんですが、つい・・・。

いろいろトホホな状態で情けなくて・・・。

この手の本はまとめてHPのほうにアップしようと思っていたのですが、あまりにもタイムリーだったので、ちょっと紹介します。

ある評論家が絶賛していて、なんとなく日高さんの名前は知っていたので買ったんですが、非常におもしろかったです。

まず、本の帯にデカデカと書いてある
<「米中通貨同盟」が成立>という文言。

将来どうなるかはわかりませんが、とりあえず人民元はドルにペグする、ドルの信用のもとに人民元に国際通貨としての価値を持たせる、中国は豊富な資金力でドルを下支えする、ドルの暴落を防ぐ、らしいです。

こういう約束ができてしまった以上、正面切ってアメリカは中国とは対立しない。

これは何を意味するか?

現在、東アジアにおいてアメリカに仮想敵国は存在しないってことになるわけです。

自衛隊がどこに備えて訓練をして艦船その他を配備しているか、こんな自明なことがあいまいになってくるのです。とにかくアメリカは中国と表面上事を構えるつもりはない、わけですから。

中国軍部首脳の有名な言葉、「ハワイから西の海域は中国がもらいます、アメリカはハワイから東ということでお願いします。太平洋をそうやって我々で分けましょう!」

昔はまったくのジョークという感じでしたが、今となってはジョークに聞こえない・・。

ああ、話が終わらなくなるので次に進みます。

本の帯からもうひとつ、
なぜ(アメリカは)首相の靖国参拝に「失望」!?

さきほど書いたように、水面下ではアメリカと中国は手を握り合っています。そして、とっくの昔に習近平は軍部の傀儡になっています。

なので、

「とりあえず(カネのことがあったせいだけど)中国とは手打ちして当分喧嘩はしないって決めたのに、日本のばっきゃろぉ、参拝なんぞしやがって。騒ぎを起こしたいって思っている中国軍部にいい喧嘩の材料を与えるだけじゃねぇか」って感じなのです・・。

アメリカの本音、続けます。

「自分で尻拭いできりゃいいよ、おうそうだよ、自分で自分の面倒見れるならいいよ、誰がちょっかい出そうと自分らで始末つけれるってんなら、どうぞ靖国でも何でも勝手に行きゃいい、でも結局オレたちに『助けて』って最終的に泣きついてくるくせに、勝手につっぱってんじゃねえよ」とアメリカが思うのも無理はないです・・。

そんなアメリカの思惑を考えると、今夜きっとテレビニュースでもさんざん流れるであろう「尖閣への安保適用」は、まさにアメリカの「ったくもう」という舌打ちが聞こえてきそうな出来事なわけです。

「安保」、日米安全保障条約というのは、日本に危機が迫っても日本は戦わない(戦えない)、戦いは<全部>アメリカにおまかせ、助けてもらうという約束なんですね。

本来は、仮想敵国があるなら、二カ国もしくは数カ国で「相互」安全保障条約を結びます。

これは、私たちの国が攻められたら助けてね、かわりにそちらが攻められたら私たちが助けるから、という相互扶助的な条約です。

日本とアメリカはそんなごく普通の条約すら交わしていません。

アメリカが日本を占領していた時代からサンフランシスコ講和条約を経て、「占領」の文字はとれたものの、とりあえず「日本は軍備を持つな、また戦争されたら困るから。そのかわりオレたちが当分守ってやる、お前らはとにかくカネを稼げ」という、その場しのぎの昭和の時代の約束なんですね。

で、アメリカとしては「もうそろそろいいだろ、オレたちもいろいろとしんどいし、自分の身は自分で守ってね」と言いたいわけです。

もっといろいろ書きたいのですが、だいぶ書いてしまったし、このくらいにします。

ぜひ、現在のアジアの状況、アメリカは今どうなっているのか、そして中国との緊張が続いたら日本はどうなるのか、そういったことについての分析がたくさんこの本の中につまっています。

あー、フナツは日本を戦争のできる国にしよう、とか、再軍備に賛成だというわけではありません。それははっきり書いておきます。平和憲法を守りながらも探れる道はあると思っています。

しかし、それにしては国政を担う人たちが情けない・・・と思うわけです。

この本にも書いてあります。

国家としてとても大事な「政治・軍事・外交」に関してはずっとアメリカが主導権を握り、そういったことを日本の政治家や官僚は考えてこなかった。安全保障はアメリカに頼り切り、という時代が長く続いてそれらを仕切れる政治家がいなくなった。日本の国政を担う政治家は、今や地方の県会議員クラスで、国政を託せるレベルではない。

それが悔しい。

あ、もちろん、日本の首脳に対して以下のように良い評価をすることも可能です。

「てめーら、オレたちの苦労がわかってんのかぁ!オバマが情けない野郎だとしても、ここは安保は万全って言ってもらわなきゃ困るんだよ!何を言われようと今の日本じゃ戦争はできねぇんだからよ、ここはアメリカさんにすがるしかないんだよ!今は中国を牽制してくんなきゃ困るんだよ。オレはよぉ、そのためなら、日本を守るためなら土下座でも何でもするぜ!オバマさんの靴だって舐めるぜ」

ってくらいの気概を持ってやってくれてるんならいいんですけど・・。

国際ビジネスに関わりのある人にはぜひ、って感じでお勧めです。

 

 

 

 

『ぐっちーさん 日本経済ここだけの話』(2013.8.1 tanakomo

 

さきほどアップしたAERA連載の「ぐっちーさん ここだけの話」をまとめた本が出ました!!

フナツはビジネスセミナーの講師でもあるので、経済ウォッチャーでもあります。

特に担当する国際ビジネス関連なら、経済評論家と称するいろんな人や、経済学者の書いたものはある程度目を通し、次のセミナーで話す良い材料はないかなといつも意識してウォッチしています。

まあ、いろんな情報をキャッチアップして自分の持つ情報を最新のものにアップデイトしとかないと次回の講師依頼はない、と無意識下に強迫観念があるのだろうと思います・・・。

さて、この「ぐっちーさん ここだけの話」を読むためだけに、AERAが置いてあるカフェに週一で通っているというのは以前にもここに書きました。

ホントはアエラを定期購読すればいいんですが、このぐっちーさんのコラム以外の記事は、残念ながら、今ひとつというものも多いので、まあ、カフェで読むくらいでいいかな、と。

そんなぐっちーさんのコラムが一冊の本になってまとめて読めるわけですから、これは買うしかないでしょう。

本の帯にもあるんですが、目次を引用してみます。

第1章 メディアも評論家もウソつきだらけ
第2章 「強い通貨」を持ってはいけない?
第3章 日本の財政に増税は必要ない
第4章 アジア経済を読み解くコツ
第5章 日本企業が生き残る道
第6章 日本再生=地方再生 これが処方箋だ

なかなかいいでしょ。

そして、池上彰さん、榊原英資さん、そして押切もえ(なぜ??どうもアエラで彼女がコラムを書いてたらしい、その関係??)さん、との対談も入ってお買い得です。

 

 

 

 

『日本経済「円」の真実』(2013.3.31 tanakomo

 

さて、アベノミクス、もう一冊です。

円安は善か悪か、ってことで、さきほどの浜田先生は明確に「円安推進」でしたが、(もちろんそれで現在儲かっているところもあるんですが)、この本では否定されています。

榊原さんは以前から「円高」を肯定していて、このブログでも以前、榊原さんの『強い円は日本の国益』という本を紹介しました。

榊原さんが以前大蔵省の官僚だった頃行った、円安誘導のための「為替介入」を、もうご本人が明確に否定し、かつ、「金融緩和はもう無駄」とも書いています。まさに浜田先生とは正反対です。

さらに、巷で通説となっている、以下の項目を明確に否定しています。

経済ニュースで曰く、
・為替介入で円高を是正せよ
・円高のせいで日本企業に大打撃
・デフレは日銀の円高放置が原因
・日本破綻に備え、海外へ資産をシフト
・ウォン安政策が日本企業をつぶす

以上のことは全部間違いであると榊原さんは言います。

そして「通貨」を基点に「日本経済の真実」を読み解くことが大事だとします。

Chapter 1:これが「円高」と「世界同時恐慌」の真実だ!
世界同時不況、為替介入のことにふれています。「実質為替レート」と「実効為替レート」、そして「実質実効為替レート」の話がおもしろいです。

Chapter 2:これが「通貨」と「世界経済」の真実だ!
ユーロ危機、国家資本主義、リ・オリエント(すでに西欧は没落している)、通貨の無極化などを書き、

Chapter 3:これは「新興国通貨」の真実だ!
ここではアジアの通貨の現状を書いています。

そして、

Chapter 4:これが「日本経済」と「日本企業」の真実だ!
日本企業の生産拠点が海外移転することで「空洞化」にはつながらない。企業のグローバリゼーションを進めれば、逆に日本からの輸出が増える可能性あり、というのは、なかなかおもしろい意見です。また、成長戦略もいらない、「ものづくり日本の再興」も目指さなくていいと言います。じゃ、どうしたらいい?ってのはぜひ読んでみてください。

Chapter 5:「通貨」を見れば、経済がよくわかる!
さまざまに「通説」と「真実」を対比させ、最後に総論として、「世界同時恐慌の時代」を生き抜くために知っておきたいこと、をいくつか語ります。

かなり、実践的というか、経済初心者向けというか、ビジネスマンにとって役に立つ具体的なことも書いています。

まあ、個人的にはこちらのほうが読みやすいとは言えますが、(フナツの好きなぐっちーさんの論に近いし)この榊原さんの主張を明確に否定する人もたくさんいます。

ぜひ、2冊を比べてみてください。同じことを言っている部分もたくさんあるんです。でも最後に出てくる結論というか、こうしなければいけない、というところにずれが出てくるんですね。そのあたりが興味深いです。

そして、学生諸君、自分で考えることです。
自分で考えたことが正しいかどうかなんてことを考える必要はない。「資料を読み、自分で考える」という作業を繰り返した人間だけが、自分で考えられるようになり、多少なりとも戦略を描くことができる、そう思って頑張ってください。

世の中に「絶対正解」なんてないんだから・・、みんな自分の都合が大事なんだから・・・、って言ってしまったら実も蓋もないけど・・。

そして「歴史に学べ」と強調して、榊原さんはペンを置きます。

経済や金融はわからないけど(興味ないけど)これからどうしたらいいかな、と思っている人は、最後のChapter だけ読んでもおもしろいかなと思います。

学生諸君、本は読まないとね。

 

 

 

 

『アメリカは日本経済の復活を知っている』(2013.3.31 tanakomo

 

あ〜、これは去年(2014.5から見て)書いたものですが、浜田先生はエラい人なのでかなり筆致は柔らかめですが、この本大丈夫?って遠回しに書いてありますね。今となっては、浜田先生は晩節を汚したというか、踊らされてしまいましたねー、って感じです。

まあ、お読みください。

 

***

最近、ビジネス書は面倒くさくてアップしてませんでしたが、先日学生に「アベノミクスとは何だ、ではなくアベノミクスを自分はどう思う、ってとこまで話せないといけない」なんて説教をしまして、「よし、じゃ読みやすい本をブログで紹介しておこう」と言いながら忘れていたので、アップすることにします。(IAさん、遅くなって申し訳ない)

とりあえず本棚から2冊ほどピックアップしてみます。

それも、アベノミクスの成否・妥当性を決定する方向に、真っ向から相反する意見の本、かつごく一般的でやさしい本をとりあえず1冊ずつ紹介してみます。

いろんな意見に惑わされず、ちゃんと自分でも日本経済の先行きを判断したいという人は読んでみてください。もちろん2冊くらい読んだからって判断できるかどうかわからないですが、何も読まないよりはいい、フナツの好きな言葉“Better than nothing.”ですね。

さて、1冊目はアベノミクスの提唱者、安倍首相の懐刀というか「(経済方面の)知恵袋」として有名な浜田先生の本です。

まずこの本を手にとったのは、フナツが敬愛する「知の巨人」立花隆さんが書評で割と好意的なことを語ってたからなんですね。

浜田先生は、その錚々たる経歴と、多数の著書によって広く知られています。経済学を少しでもかじった人なら誰でも知っていますし、本の帯にあるように「ノーベル経済学賞に最も近いといわれる巨人の、救国の書だ!!」とも言われる人です。(でも、高橋洋一さん、なぜそこまで浜田先生を持ち上げる??えー、高橋洋一さんに関しては、興味のある人は検索してみてください、微妙な位置にいる人ですね・・)

最初は浜田先生を日銀総裁に、という声もあったくらいで(ご本人が、自身高齢であることを理由にひたすら辞退されました)、実は、先日辞任された日銀の白川方明総裁は、この浜田先生のお弟子さんです。(白川総裁が浜田先生の学生でした)

ただし、いわゆるバブルが弾けた後の、自民党政権時代の「よくわかんないけど今はどうも好景気らしい」といった時代を牽引した経済諮問機関とでも言うべき内閣経済社会総合研究所長だったし、前回の安倍政権のときの経済諮問機関のオブザーバーでもありました。

なので、フナツとしては、ちょっと古い体制の側の方なのかな、と思っていました。

それが、立花さんがこの本の内容を褒めていたので、ちょっと気になったのです。

おまけに、浜田先生が日銀総裁として特に岩田規久男先生を推薦したと聞いて、フナツは岩田先生の著作、たとえば、入門書としての『経済学を学ぶ』や『国際金融入門』などをビジネスセミナーで参考文献として挙げているくらいなので、「うん、人を思い込みで判断してはいけないな」なんて感じで、この本を買ったという経緯があります。(あ、しかし、最近の岩田先生は完璧なリフレ論者で、最近の著作もそのような関連のものばかりなので、今は浜田先生と同じ方向性です、そのようにお読みください)

あー、すいません、いつものごとく前置きが長いですね。

でもって、読後感なのですが・・・、

一般の読者を想定して非常にわかりやすく書いておられて、実証的な話題にもことかかず、かつ世界の経済学の泰斗へのインタビューもあり、活動内容も遜色ない、というかすごいことをされている、なかなか本のボディ(主要な内容)は面白いんです。ふむふむ、という感じ。

しかぁし、「これはこうだ、これもこうだ、だからこれこれだ」っていう最後の「これこれ」のところに違和感を感じるのです。「AはBである、そしてAはCである、よってXはZだ」って感じ・・、うーん、適切なたとえではないかもしれないですが、そんなふうに感じるんです。「そうですね、うんそうだ」なんて途中までは納得できるんだけど、その立証の積み重ねでどうしてその結論になる??って感じなんです。

フナツは専門的にアカデミックなところで経済学を学んだわけではないので、きっと理解力が足りない、読み込みが浅いんでしょう・・・。

実は(ってカミングアウトしますが)経済学に対して偏見もあるんです。

これはフナツの私見であり、今書いたように独断と偏見なんですが、「経済学って事例研究や現象の分析や説明には非常に役立つ知見は得られるけど、実際に金儲けや会社経営にはあまり役に立たないよな」って思います。「おまけに、現実には設定不能な仮定が多いよな、現実社会ではありえない前提の元に論を展開するよな」と思います。

あー、「経済学は金儲けのための学問じゃない!!」とか「会社を経営するノウハウなら経営学部へ行け!」とか「そもそも経済学とは何かってお前わかってんのか!」なんて、経済学の先生や院生たちからすごい批判&攻撃を受けそうですね、でも正直そう思っちゃいます。(だって利益追求のない実質経済って存在しないと思うし・・)

うーん、またこんなこといろいろ書いてたら全然紹介へいけないので話を戻します。

「まえがき」より要約、という本の帯の裏を紹介しましょう。
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私の研究生活の集大成として、なぜ経済政策が、そして特に日本の金融政策がこうも間違えるのかに関して、インタビューを行っている。すでに60人以上から聞き取りを行っているが、そのなかには、教科書でも有名なグレゴリー・マンキュー、ウィリアム・ノードハウス、ベンジャミン・フリードマン、マルティン・フェルドスタイン、デール・ジョルゲンソン、ロバート・シラー等の泰斗が含まれる。そこであらためてわかったことがある。外国人学者のほとんどすべては、潜在成長率のはるか下で運営されている日本経済を「ナンセンス」だと考えているのだ。そう、アメリカは、いや世界は、日本経済が普遍の法則に則って運営されさえすれば直ちに復活し、成長著しいアジア経済を取り込み、再び輝きを放つことができることを知っている。
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そりゃデフレは良くないことはわかるし、日銀の硬直化した方策や、政治家の経済オンチは最悪、「官報複合体」の罠、増税を急げば日本経済にダメージを与える、日本の底力はあなどれないものがある、などなど、著作の中で説いておられる内容は素晴らしいです。

でもなぜそれらが、たとえば、「円高はよくない」につながるのか、よくわかりません。

なんか中途半端な紹介になってしまいましたが、状況説明、現在日本が置かれている状況の分析と、やっていいこと悪いことなどに関する分析は一読の価値があります。世界の経済学者のさまざま意見なども・・・。

フナツだってアベノミクスの批判がしたいわけじゃないんです。

アベノミクスの結果、日本経済が上向けば最高です。
「フナツが間違っておりましたぁ」って潔く認めます、いやホントに好景気になるなら今すぐにでも認めたい・・。

でも現実には、株や投資をしている人間だけが儲かって、庶民はこれから頻発するたくさんの商品の値上げにびくびくし、リストラに励む企業がまたたくさんの失業者を生み出し、っていう状況だからなぁ、どうしても批判したくなっちゃうんですよね。

まあ、一度書店で手にとってみてください。安倍首相の発言のネタもとだと思って。

 

 

 

 

『評価と贈与の経済学』(2013.3.28 tanakomo

 

これは経済学とあったのでここにアップしましたが、どちらかというと「生き方指南」の本であり、社会学であり、かつ、簡単な哲学の解説でもありますね。とりあえずこちらに・・・。

 

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今日マイソール後のヨガミーティング(?)@スタバ、で話題にした本です。

 

フナツが敬愛するウチダセンセイと、1年で50キロ減量した話『いつまでもデブと思うなよ』で一躍有名になったオタク関連の評論家(という説明が妥当かどうかわかりませんが・・)の岡田斗司夫さんの対談を本にしたものです。


『〜の経済学』なんて硬めの学術的なタイトルがついていますが、全然難しくありません。資本主義経済が行き詰まりを見せる中、これからどうやって社会は動いていくか、人は生きていくか、ということへの、ひとつの指針が書かれている本です。

おもしろいです。
だから(紹介したくてうずうず・・)以下の書き込みはとても長いです。時間のある時に読んでください。

まず、ウチダセンセイが「あとがき」で、このタイトルを選んだ理由を書いています。
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 これはこの対談が、ポスト・グローバル社会における「新しい共同体」のありかたと、そこにおける財貨・サービス・知識・情報の「新しい交易」のかたちをめぐって展開しているからです。
 今、岡田さんはFREEex(フリックス)という会社を、僕は剴風館という学塾をそれぞれベースにして活動しています。僕たちはたしかにそれで生計(の一部)を得ていますが、それはどちらももう因習的な意味での「ビジネス」とは言えません。対談の中で触れられているように、僕たちがそういう場を作り出したのは、なんらかの利益を手に入れるためではなく、むしろ「拡大家族」を作るためだったからです。(246ページ)
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「拡大家族」に関しては本を読んでもらうとして、この本はこれから私たちがどう生きていくかに関して非常に示唆に富む記述がたくさんあります。

たとえば、本の帯から、
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一緒に考えてみませんか?「みんな」が行き延びる方法を
いま、私たちに迫る試練―役に立つのは“お金”じゃなくて“人柄”
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「人柄」なんです。ぜひ読んでみてください。「お金」は「人柄」についてくるモノだとフナツも思います。「お金」に「人柄」がつくわけじゃない。

そして、題名に「経済学」という言葉がなぜついているのかの説明をもう少し本の裏表紙から、
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本書で示されるのは、新しい「交易」と「共同体」のありかた。貨幣も、情報も、評価も、動いているところに集まってくる。ならば、私たちはどのような動きをする集団を形成すればいいのか。そのために個々ができる第一歩とは。キーワードは「情けは人のためならず」。若者と年長者の生態を読み解き、ポスト・グローバル社会での経済活動の本義にせまる変幻自在の対談。笑って、うなって、ひざを打つこと間違いなし!
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それから、ヨガにも通じると(フナツが勝手に)思うところもあります。ウチダセンセイは合気道の達人なんですが、以下の引用の最初の「合気道」のところを「ヨガ」に読み替えてもいい。
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内田 あとね、手前味噌だけど、合気道も来そうな気がする。格闘技って、努力目標が世界ランキング何位とか、勝率がいくらだとか、年俸がいくらだとか、そういう数値ではっきり毛漁される単純な世界になってるでしょう。でも、本来の武道は強弱勝敗巧拙は論じない。
 そうじゃなくて、ひとりひとりのパーソナルな身体的な潜在能力をどこまで開発するかを研究する。比べる相手がいるとしたら、ライバルじゃなくて、「昨日の自分」。昨日から今日に書けて、自分がどこまで潜在能力を掘り出したか、それが問題だから。ぼくらが問題にしている武道的な能力って、「共感性が高い」とか「微細な身体シグナルを感知できる」とか「わずかな不愉快な入力に反応できるか」とか、そういうタイプのプリミティブな生物の生きる力に近いものだから、そんなもの数値化してもしょうがない。そもそも数値化しようがない。(40ページ)
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もちろん今の若者の状況についてもいろいろと記述があります。
たとえば、昨今の若者は搾取されているとか悪い時代に生まれた、1960年代高度成長の時代、日本社会は夢にあふれていました、なんていう言説は嘘だとウチダセンセイは言います。

最近、やたらと昭和を懐かしむ風潮が(ドラマや映画も)ありますが、フナツはあまり好きではありません、平成のほうがよっぽどいいと思います、昔は美化できるのです。パワー不足の老人がパワー溢れるワカモノの優位に立てる方法のひとつは、そのワカモノの知らない過去を美化することです。

「明治以来だいたいいつも若者たちの前に広がる未来はどうなるかわからなくて、いつも不安定なんだよね」(52ページ)とウチダセンセイは語り、重要なことを述べます。
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いましている努力に対して未来の報酬が約束されないと働く気がしないという人が増えてきたけどさ、いましている努力に対して未来の報酬が約束された時代なんて、これまでだってなかったんだよ。だって、明治維新からあと、二十年おきに戦争してたんだぜ。「約束された未来」なんかあるはずないじゃない。報酬の約束なんかなくても、とりあえず生き延びないといけないからってみんな必死に生きてきたんだ。努力と報酬が相関するというのは、理想なの。はっきり言えば、嘘なの。努力と報酬は原理的に相関しないの、全然。するときもあるかもしれないけど、それは例外。(53ページ)
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頑張れば報われる、というのはラッキーなことだというわけです。じゃ、頑張ってもしょうがない、のではなく、自分一人で這い上がったんじゃない、必ず誰か引き上げてくれた人がいる(もしくは状況がある)、自分一人の力じゃないということを認識しないといけないということです。

ぜひ、これを読んでいる人に勘違いしてほしくないのは、「努力しても報われない」んじゃないんです。ウチダセンセイ曰く、努力したら最終的に報われるけど、でも、どんな報酬がいつもらえるのかは事前に予測できなくて、ある種の努力をしているうちに、思いもかけないところから、思いもかけないかたちで「ごほうび」が来る(55ページ)、ということです。ここんところ、フナツにもすごくよくわかる。

そして大事なことは、
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「努力した分についてすぐ報酬よこせ」「苦労していい大学入ったのに就職がないのは理不尽だ」って言ってる人は結局「努力した人はどこかで最終的に報われる」っていうことをほんとうは信じていない。(56ページ)
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ってことなんです。

ホントに信じていたら、努力してなかなか報酬が来なくても頑張れます。努力はいつか報われると本気で思っている人間はすぐに見返りが来なくても怒らないわけです。それに、努力しているそのさなかに実はすでに報酬をもらっているときもある。報酬は「お金」だけじゃない。

見返りを早くって言うやつはろくな努力はしていない、とウチダセンセイは言います。以下の言葉を噛み締めてください。
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逆説的な話になるけど、いま若い人に一番足りないのは、「努力あるいは才能に対する報酬は、いつか必ず来る」っていうことに対しての素朴な信仰だと思う。(57ページ)
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キャッシュ・オン・デリバリー(COD)「商品(労働)はお金と交換」は相手を信じていない人間のいいぐさだということです。

そして「贈与」することが大切だと・・。
ある社会的成功を収めても、それはもともとが自分の力じゃない。子どものころは親が世話してくれて、友達とか、上司とか、同僚とか、師匠とか、いろんな人の支えがあったからこそ今の自分があるわけで、恩には恩を以てお返しをするべきだというわけです。

***
「オレの持ち物はオレが自力で手に入れたものだから、オレはこれを排他的に使用する権利がある」というふうに考えるんじゃなくて、自分の成功は自分ひとりで成し遂げたものじゃない、自分がいま手元に持っているものは、自分の専有物じゃなくて、一時的に「託されたもの」だと考えるべきなんです。(95ページ)
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だから「贈与」であり、「贈与」から始まる経済であり、パスの出し手がいて受け手がいる、ということに話がつながっていきます。まずパスを出そうってわけです。みんながパスを受けようと待っていても始まらない、誰かがパスを出さないと始まらないですね。

ああ、こんなふうに書いてたら全然紹介が終わらないですね。

他にも「家族制度の基本とは身体性」(111ページ)とか、「掃除は宇宙の真理である」(128ページ)「回答を与えないのが師の役目」(131ページ)「生きる根拠がないと悩んでいる人たちには、他人に生きる根拠を与えることでしか、悩みは解消されない」(156ページ)などなど、ウチダセンセイの珠玉の言葉が続きます。

そして、痛快だったのは、『これからの「正義」の話をしよう』という本をフナツが読んだ時に感じた、サンデル教授という人が書いたものに対するうさんくささ、もとい、強烈な違和感を、きちんとウチダセンセイが批判してくれていることです。

きっとフナツがあの書籍に関する違和感を叫んでも無視されるだろうけど、ここに書いてあることならたぶんみなさんも受け入れてくれるはず・・。ちなみに、このあたり良質なアメリカ論でもあります。

あー、もっと書きたいけど我慢してこれで終わります。

 

 

 

 

『入社1年目の教科書』(2013.3.22 tanakomo

 

新人研修の季節ですね。
フナツもいくつか頼まれています。

近頃の新人はまさに新人類だと、かかわり合うのを恐れている旧人類のビジネスパースンの方々へ。

備えあれば憂いなしです。
以前ここで紹介した『あたりまえだけどなかなかできない仕事のルール』とか、この本を読んでみてください。

あー、得意の分野なので書き込みはかなり長いです。
新人研修なんて代物はオレ(アタシ)には関係ないや、という人はスルーしてください。

さて、ビジネスの場面でもそうですが、フナツは大学で毎年1年生、つまり18〜19歳の子たちを相手に1年間クラスを担当します。

言いかえれば、毎年毎年、その時点での「新しい18歳」と向き合っているわけです。

年とともに変わっていく部分もあれば、時代が変わっても変わらない部分もある、それは当たり前のことです。観察していると毎年とても興味深いです。

どの部分が時代とともに変化し、どの部分が不変なのか、それがわかれば新人と向き合えると思います。

もちろん「オレ(アタシ)たちの若い頃はねぇ」は禁句です。

現在40代よりも上の世代の方々は、いったん就いた職や入った会社で、ある程度までは面倒観てくれるということが当時保障されていました。だからけっこう理不尽なことを言われても耐えられたし、そして耐えなきゃいけなかった・・。

もちろん、その共同体の中に、「そのくらい耐えるもんだ」という共通認識もあったわけです。

でも今の10代、20代にはそれがない。
そこが誤解の始まりなのかもしれないと思います。

会社に入ったって、ずっと自分の生活の面倒みてくれる保障なんかない、会社がつぶれるかもしれない。さらにいつ大地震が来るかもわからない、戦争が起きるかもしれない。

生まれてからこっち、そんな社会をずっと見ている、というかそんな社会しか見たことがない10代、20代の彼ら彼女らに、「とにかく耐えろ、頑張れ、先々報われるから」と言うだけではちょっと不親切かなと思います。

なんせ、「好景気」なんてものを具体的に知らないんですから。彼ら彼女らにとって、それは神話の中の出来事です。古事記?日本書紀?

そもそも、したり顔で「いい大学を出て、いい会社に就職したって幸せにはなれない」なんてわかったふうなことを言う大人が多い。

「黙れ、似非評論家ども!」ってフナツは言いたい。そんなことを言ってワカモノを不安がらせるな!だったら、それに代わる「幸せのモデル」を提示してから言え、って言いたい。

夢を実現?やりたいことをやれ?

ねー、みなさん、人生ってけっこう大変でしょ?
この抽象的なセリフだけでワカモノが幸せに生きていけると思います?もっと優しく接してあげようよ・・。

おお、ちょっと感情的になってしまった・・。
話を戻します。

みなさん、ワカモノにはきちんと説明しましょう。
そして彼ら彼女らの言うことにはちゃんと共感しましょう。

「はあ?こいつら何考えてんのかわかんねーし」なんて思っちゃいけないし、ましてそういうことを口に出すのはやめましょう。

なぜって?
たぶんワカモノもあなたの顔を見て同じことを思っているはずだから・・。

まず、話し合いましょう。彼ら彼女らの言い分も聞きましょう。
そして客観的に、みなさんが属している組織にとって何がベターで何がベターじゃないかを一緒に考えましょう。

ワカモノが間違っている時には叱りましょう。しかし何が間違いかはきちんと説明しましょう。説明できない時はきっとみなさんのほうが間違っている可能性が高いです。

けっこうワカモノのほうが良いこと言っていることが多いんですよ。化石化したオジサン・オバサンよりしなやかで、今の時代にマッチしたアイデアを持っていることが多いのです。

自分の意見と「違う」だけで、「それは間違いだ」と叫ばないよう旧人類は注意しないといけません。

ちなみに、以前日本語を勉強している外国の人から「違う」と「間違う」の「違い」という質問がありました・・、まあ、それはいいとして・・。

ぜひ、みなさん自身の成長にも通じると思ってワカモノと接してください。若い人と接するのは楽しいですよ。エネルギーをもらえるし、きっとみなさんも若返ると思います。

そして、ワカモノと接していいことのもう一つは、彼ら彼女らの成長を見守ることができるということです。これはとても素晴らしいことです。「おお、ここまでできるようになったかぁ、いいぞ、いいぞぉ、その調子」なんて感情を抱けるのは人生におけるひとつの幸せではないでしょうか。

さて、いつものことですが、ここまでおつきあいいただいて(読んでいただいて)ありがとうございます。

まだまだ書きたいことはたくさんありますが、仕事に戻らねば。

Eさん!!新人研修頑張ってね!
これから一緒に働く大切な仲間なんだもん、愛してあげましょう・・・、ね。

 

 

 

 

『もう終わっている会社』(2013.3.14 tanakomo

 

昨日から原稿書きと書類仕事のために仕事部屋に(自主的に)カンヅメになっているフナツです。

原稿書きに疲れると、ここにやってきて書き込みする、ということを繰り返しています。

仕事している時間よりブログ書いている時間のほうが多くないかぁ、という気もしますが、まあいいでしょう。書きたい本はたまっているので・・。

さて、この本の題名だけ見ると、衰退していく企業や業種などのことを書いているようですが、そうではありません。そういう本なら世の中にあふれています。

この本の肝心な部分は、副題にある「本気の会社改革のすすめ」です。

題名の由来は、最初のページに書いてあります。

***
 ここ数十年、巷の会社人間同士の会話の中でよく耳にするフレーズがある。「それ、もう終わっているね!」だ。
 会社や自社ビジネス、上司や同僚に関する話の中に、頻繁に交じる。どうやら「もう終わっている症候群」が日本の会社社会で蔓延しているらしい。
 本書は、その症候群にメスを入れ、志あるみなさんと、「本気の会社改革を進めていくための本」である。(1ページ)
***

そしてそう書きつつも「問題解決を得意とする、いわゆる戦略系コンサルタントと呼ばれる(自称する)人たち」には頼るな!と言います。官僚的な参謀たちは要らない、ほんとうに優秀な一人の参謀でいいと言うのです。

さらに、「ニセモノの三種の神器」、いわゆる「選択と集中の戦略」「中期経営計画の信奉」「顧客至上主義」のニセモノたる所以を暴く!とします。

気持ちいいですね。

できない理由ばかり探す上司や、無難な企画しか通さない会議、どこかで聞いたことがあるような戦略しか打ち出せない役員会など要らないとみんな思っているのにどうしようもない、無力感を感じる、そんなビジネスマンを勇気づける本だと思います。

他にも、
***
なぜか起きてしまった成功物語をロジカルになぞって解説するのに便利なだけの受け売り。マル暗記用の規格製品と化した会社のあるべき論や経営論を振りかざすための重装備は、いったん投げ捨ててみよう。(42ページ)
***

元気がいいですよねー。いいなぁ、フナツはこういうの好きです。

さらに、随所に経済学・経営学の理論や用語が解説付きで出てくるので勉強になります。(多くは反証のために例示されてるんですけどね)

以下のサイトに出てくるんですが、最後に著者よりのコメントを引用しておきます。

***
ここ二十数年の世の中の、会社経営の血の通わぬあるべき論や戦略論や管理体制論の我がもの顔の啓蒙活動、それも表面的な形とロジックと体裁だけでの普及活動、
ありていに言えば頭でっかちに警鐘を鳴らしつつ、自分勝手の生き様としての屁理屈を残しておきたかった。
もちろんご賛同いただければごいっしょに、もうひとつの古くからの世の中の傾向である旧態依然の無分別な規範重視や、脳死状態の前例主義をぶち壊したいのだ。
会社に巣をつくって勢力範囲を拡大し、内部統制というお題目で幅を利かせてリスクを取ることもせずに偉そうな管理部門の連中を追い出そう(もちろんそうでない人もたくさんいるが)。
またライン長の威を借る狐たちの経営戦略部門や企画部門の、これまたリスクも取らずに行動もしない参謀ゾンビたち(同様に、そうでない人もたくさんいるが)なんぞも用無しだ。

会社の経営戦略やマーケティングの知識やスキルを理解することは大いに結構。ただし、ボケた顔をして鵜呑みにしてはいけない。
鵜呑みにしないように、自分の目で、足で、手で、鼻と、耳と、喉と、心と、あらゆる全身の触覚で本能的に確かめることが必要だと言いたい。
確かめるために、常にカベや枠や規則や常識に挑戦し、大いに疑問をもって正しく問いかける姿勢を忘れないことだ。

フォーマルな組織体制は覚醒が遅れるから、まずはあなた自身とあなたの会社のインフォーマルな組織から、目覚めさせよう。
会社改革の維新、わかりやすくいえば会社を良くする! 
もっと住みやすくする! 
もっと楽しくする! 
ついでに世の中も楽しくなる! 
さまざまな気づきや発想や姿勢を得る機会に、僭越ながらこの本が役に立つことを切に願っている。
腑に落ちたら、あとは行動あるのみだ。
***

高度成長期の夢やバブルの思い出にひたりながら、自分がいる間だけは会社がつぶれなきゃいい、なんとか退職金もらって逃げ切ろう、そういう人たちに会社はまかせておけない、と(最近手垢ががついてしまって、あまり使いたくない言葉になってしまいましたが)維新を起こそうとしている人たちのために・・。

 

 

 

 

『自由な働き方を作る「食えるノマド」の仕事術(2013.3.14 tanakomo

 

「ノマド」に関する本は、以前にもここで何冊か取り上げたことがありますが、この本はもう少し地に足をつけた本です。

いつかはフリーで働きたい、自分の好きなことでお金を得て暮らしていきたいと思っている方にお勧めの本です。

本のデータベースには、

<「理想」と「現実」のギャップを埋める、地に足のついたノマド論。不安でも、孤独でも、強く生き抜くためのヒント>

とあります。

フリーで働くとしてもちゃんと食っていかなきゃね、ということですね。

はじめに、から少し引用します。

***
 この本は、「自由な働き方」に憧れるすべての人のために書きました。
 すでにそんな働き方を実践している人はもちろんのこと、学生、会社員、主婦、フリーランス、起業家に至るまで、「いつか自由な立場を手に入れ、好きなことで食べていきたい」と考えているなら、本書は必ず役に立つと断言します。
***

割と堅実なことを書いている本です。

この人の仕事や生き方を真似しろと言っているわけではなく、フリーで仕事するならこういうところに気をつけ、こういうことを心がけるといいということが書いてあります。

それもかなり具体的にね。

現在組織の中で働いていて、ぼんやりと「将来これでいいのかなぁ」と思っている人も、こういった本で刺激を受けるといいのかなと思います。(「もうすぐ定年だけど、年金もらう年齢までどうしようか」と思っているオジサンも、虚心坦懐で読むのならいいと思います、批判せずにね)

しかし・・、フナツが起業した頃、こんな本はなかった・・。
あれば絶対読んでいた・・。

それだけ今は、フリーで仕事をする、起業する人が増えているのかなという気がします。

今どうこうではないけど、こういう本を読んで将来のヴィジョンを作っていくのもいいのかなと思います。

 

 

 

 

『危ない大学』(2013.3.13 tanakomo

 

純粋にビジネス、ってわけではないんですが、関連しているのでこちらに。

 

***

同じような名前の書籍はいろいろ出ていますが、いろいろ読んだ中で(まあ、いわゆる業界のお話なのでついつい読んでしまう)おもしろかったのがこれです。


これから大学入学を目指している諸君、編入試験で大学を変わろうとしている諸君、そして子供さんが大学進学を考えている高校生だという父兄のみなさんへ。

そして何より、今まさに、大学生まっただ中の諸君にこの本を勧めます。

まず現状把握から、ということで裏表紙を引用します。
***
最高学府の耐えられない軽さ!
日本の最高学府、大学の危機が叫ばれて久しい!
少子化で18歳人口が減り続けている一方で、
大学数はバブルさながらに増え続けているからだ。
各大学がAO入試や一芸入試(=無試験化)など学生確保に奔走した結果、
いまや大学生でも分数ができないのは当たり前。
日本語能力すらあやしい学生は枚挙にいとまがない。
高校生の2人に1人が大学に進学し、
大学の定員総数が進学希望者を上回る「大学全入時代」。
その知られざる実態を当事者たちのナマ証言で解き明かす!
***

需要が減るから供給を減らそう、とは考えず、少ないパイを取り合うために受け皿を増やす、などという、マーケティングも経営戦略も何もなく、ただひたすら学生の取り合いという競争になだれこんでいった大学の経営センスはホントにひどいものです。

この本でも、<①崖っぷち大学のいま>つまり実態から始まり、つぶれそうな大学を見分けるための<②潰れる大学、生き残る大学>と続き、<③全入時代の大学選び>と続きます。

計9人の方々が、それぞれの立場から的確な分析と対策を書かれていて、どれも読み応えがあります。

ぜひ、最初に書いたような人たちが回りにいたら勧めてあげてください。

最後に、大学そのものの問題点ではないのですが、その後の就職というところで共感の持てる記述があったので紹介します。常々フナツも学生に話していることです。

まず、就職この部分の記述を担当された海老原さんは言います。
これからの大学生は中小企業に注目せよ、終身雇用は幻想だとして、日本において「若年層の転職率は高い」としながらも、しかしフリーターは避けよ、とアドバイスします。

***
ー フリーターは避けるべき、というアドバイスはどういう理由からですか?
海老原 人間としての成長の問題です。日本の企業には全員が未熟な人を教えるという感覚があるんです。正社員で企業に入ると、尻叩かれて競争させられますよね。毎月の販売会議などで営業成績が発表されて、喜んだりへこんだり、多くの人はそこでドキドキする思いを生まれて初めて経験する。しかし、そんな苦しく楽しい環境を1年経験すると、大学の延長で1年間何もせずに過ごした人とではずいぶん差がつきます。それで、1年すると後輩が入ってきます。2年目の社員は、新卒学生にいちばん身近だから、教育担当をやらされるんですよ。大学時代のサークルのリーダーとか、バイトのリーダーというのは「イヤならすぐ辞めちゃう」っていう関係でしか教えてないですけど、全権自分に委任されて、箸にも棒にもかかんない赤子同様の新人を真剣に教えるという行為、これも生まれて初めてするんです。人に対して真剣に教えるという経験、ここで人間はすごく伸びる、たとえば、人に対して厳しく言い過ぎれば、たとえ正論であっても相手はそっぽを向いてしまうなどということを学べるんですよ。そうやって2〜3年過ごした人と、その間フリーターやってた人とでは、明らかに成長の差が出るんです。(150ページ)
***

もちろん「その正社員になれなくて苦労してるんじゃないですかぁ」という声が聞こえてきそうですが、だからこそ、中小企業も選択肢に入れるということですね。

以前もここに書きましたが、たとえ優良な中小企業であっても、「大卒の新卒はなかなか応募してくれない」と歎いている会社のほうが多いのが現実なんです。

ホント、今、大学生を持つお父さんお母さんにも読んでほしい。

 

 

 

 

『続く会社、続かない会社はNo.2で決まる』(2013.2.5 tanakomo

 

先日のビジネス研修で紹介した本の中で、ごく一般的なものを数冊アップします。

著者の大塚さんは、500人以上もの日本の名だたる経営者にインタビューを続けてこられた方で、この本はいわば著名な日本企業の栄枯盛衰を描いた本でもあります。

ぜひサイトをクリックして内容情報も読んでいただきたいのですが、少々本の帯から引用します。

***
会社の終わりの始まり、日本企業「急落の真因」!
なぜ組織は、保身上司とぶら下がり社員だらけになるか。肩書きだけの権力者が跋扈し、実力ある人材を活かせない。こんな会社はいますぐ逃げ出せ!!
***

ちょっと刺激的ですが、まあそうだなぁ、と首肯される方もいらっしゃると思います。

こんなことも書いてあります。まえがき、から引用します。

***
会社というのは、改善し、改革しなければ必ず潰れる。
「機能不全病」にかかるからだ。
「機能不全病」とは、トップはトップで、会社が永遠に存在することを前提に経営を行い、社員は社員で、会社が絶対潰れないことを前提に組織や職務にぶら下がる状態をいう。
「機能不全病」にかかった会社のトップは、自分は正しい経営を行っていると確信し、周囲の話を聞かなくなる。一方、社員は、慣習主義と形式主義で毎年同じこと、常に上から指示されたことしかやらなくなる。以前と違うこと、周囲と違ったことはやらない。自分の意思を伝えることもしない。目立たないようぶら下がるだけだ。(3ページ)
***

もちろんこれだけならよくあるビジネス系自己啓発本なのですが、大塚さんの着眼点は、企業におけるナンバーツーの存在なわけです。

もうひとつ本の帯より、

***
会社の主役は、トップではない。「会社を変えたい、もっと働きがいのある職場にしたい」という社員の思いをひとつにまとめ、改革を起こしていくのは、トップではなく「No.2」だ。
***

数々の企業を見てきた著者が、「No.2」の存在に注目して、トップのカリスマだけでは早々に市場から淘汰されてしまう事実を明らかにしています。

***
 私がいうNo.2とは、ヒエラルキーに基づく役職やポジションの「二番目」ではない。肩書きは副社長かもしれないし、中間管理職であるかもしれない。あるいは、ヒラ社員のなかから出てくるかもしれない。No.2は、それぞれのレイヤー(階層)に存在するのだ。
 No.2は、トップに意見を具申する参謀であり、ビジョンの具現化を補佐する役割を担う。また、トップと現場の間をつなぎ、社員の自発性を引き出し、モチベーションを高め、自由闊達な企業風土に変えていく世話役である。(9〜10ページ)
***

社員が自分の頭で考え、自らの責任で行動するとき、目標を達成したときの達成感は感動に変わり、仕事に楽しさを見出し、生きがいを感じるようになると大塚さんは述べます。

最後になかなかいい言葉を、
<会社を動かす原動力は、意見ではなく、意思である。べき論ではなく、「したい」という意思こそが会社を動かす>

みなさんの会社では、社員がみんな「評論家」になってしまっていませんか?

ああするべきだ、こうするべきだ、って口だけは達者で、じゃ誰がやるの?って言われると黙っちゃう・・。もちろんこれは企業風土がそうなっているだけで、そうならないように「No.2」の存在が大切だってことなんですね。