『体をつくる水、壊す水』(2014.9.19 tanakomo)
さて、昨日に続いて健康関連本を。
以前ここで紹介した『脳はバカ、腸はかしこい』の藤田紘一郎先生の本です。藤田先生の本はどれも読みやすくておもしろいですし、フナツは「水マニア」なので、速攻で買ってしまいました。
副題の「10年後に差がつく」っていうのを証明するかのように、本の帯には50代の藤田先生の写真と現在74歳の写真が両方載っていますが、明らかに今の方が若く見える・・。
もちろん複合的な要因があるのでしょうが、ヴィジュアルってインパクトがありますね。
さらに本の帯の文句が、
「今日から飲む水が10年後のあなたをつくります!」なんて、もうワニブックスさんお上手〜。
さらに表紙裏にはますます読んでみたくなるような文句が並んでいます。
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大好評、そしてロングセラーとなっている『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『人の命は腸が9割』に続く、藤田紘一郎先生の“腸健康法”新書第3弾は、毎日飲む水に注目!これまで45年にわたって、「健康によい水」を求めて世界の国々を調査してきた著者が、水と腸と健康との関係に迫ります。じつは病気の予防や改善、アンチエイジングや美肌も、腸が喜ぶ水を選び上手に飲むことで実現できるのです。本書では藤田先生が実践してきた「水飲み”腸“健康法」その30の秘訣を紹介します。よい水を飲むことは、今すぐできるもっとも簡単で確実な健康法。毎日の生活に取り入れることで、10年後の健康に大きな差がつくのです。
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まあ、言われてみれば数ある健康法の中でも「水を飲むこと」はとても簡単ですよね。
もうひとつ、「はじめに」の最初の部分を紹介します。
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私たちには、毎日必ず口にするものがあります。それが水です。
食事も毎日とりますが、理論上、ものを食べなくても数週間は生き続けられます。しかし、水をとらなければ、わずか10日間で死んでしまうことになります。水か食事か、究極の選択をするのならば、体にとって不可欠なのは水です。水は体をめぐりながら、生命の維持にかかわるあらゆる働きを行っているからです。水は命そのものなのです。
このことは、体の組成を見てもわかります。人間の体は約60%を水が占めています。体の半分以上が水でできているのです。多くの人は健康を考えるとき、まず食事を改めようとします。それは大事なことです。しかし、飲み水を変えなければ、効果は半減します。
・・・
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ぜひ本屋さんで、この「はじめに」と目次を読んでみてください。
そしてフナツが特に心に残ったのは、30の秘訣のうちの5の記述。
水道水は「体を壊す水」。
飲み水にこだわることこそ
健康長寿の秘訣
でした。
みなさんご存知のように日本は世界一の長寿国です。なんと平成22年の厚労省の発表では男性の平均寿命は79.55歳で女性は86.30歳なんだそうです。
しかし、このデータを喜んで見てはいられないと藤田先生は言います。
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WHO(世界保健機関)では、平均寿命から要介護状態となった期間を差し引いた年を「健康寿命」として提唱しています。日本人の健康寿命は、男性が70.42歳、女性が73.62歳。平均寿命から健康寿命を差し引いてみれば、男性は9.13年、女性は12.68年もの間、人は死を迎える前の期間を不健康な状態で過ごしていることになるのです。
寿命をのばすことが、寝たきりや病気を長期化させるだけならば、寿命がのびることに人の幸福はありません。(P.35~36)
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そして、その天寿と健康寿命を限りなく同時期に近づける重要な方法が「飲み水を大切にする」ということであると藤田先生は述べます。
日本の水道水に含まれる塩素は世界一だそうです。
水道水1ml中に含まれる細菌の数は100以下に定められており、大腸菌にいたってはゼロでなければいけないと規制されており、世界で類のないほど塩素が注入されているらしいのです。
そうです、その塩素が人間の腸内の大切な細菌をも殺してしまうと・・。
<日本人は「ウンコに混ざっている大腸菌はキタナイ!」と忌み嫌いますが、大腸菌も私たちの腸内に棲む、腸内フローラを形成する大事な一員です>(P.39)だそうです。
他にも目からウロコの事実がたくさん書いてあります!
え?フナツですか、もちろんこの本にも出てくる「良い水」をお取り寄せで買って毎日飲んでます!!
以前は2日に1本はコンビニなどでミネラルウォーターを買ってましたが、計算したらお取り寄せの「良い水」のほうが安いのです。
あ、それから普通にコンビニで買うミネラルウォーターにもいろいろ含有されるミネラルに差がありますから(ラベルにちゃんと書いてある)、注意した方がいいようですよ〜。
『100歳まで自分の歯を残す4つの方法』(2014.9.18 tanakomo)
今日は某大学の就職支援センターに呼ばれまして、就活中の学生のみなさんへの「声のワークショップ」でした。
それで昨日参考文献を整理していて、久しぶりに手に取った本です。
みなさんの参考になればと思いアップします。
声のWSの参考文献リストには載せてませんし、一見「声」とは関係ないようですが、実は「歯」って大事です。「声」「話し方」にも大きな影響を及ぼします。
たとえば、歯の矯正をしている時期に、口をあまり開けないで話すクセがついてしまったり、歯並びにコンプレックスを持っている人が、これも口を開けないで話すクセがついているので話が聞き取りにくいと言われる、なんてことがあります。
顎関節症で口を開けにくい人は、実は「歯」が関係しているということも書いてあります。いつも歯を食いしばっている、上下の歯と歯が常にくっついてしまっているTHCのことも書いてあります。
他にも、口腔内に炎症があるとしゃべり方が変わります、入れ歯の方はやはり特徴的なしゃべり方をします。口腔内の健康が発声に良い影響を与えるのは間違いありません。
なるだけ口を開けよく動かして話し、唾液の分泌を盛んにすると、消化にもいいし、口臭防止にもなります。
この本は題名のごとく、とにかく「歯は抜かない」ことを強調しています。「歯はかけがえのない贈り物」(P.12)なんですね。
とても読みやすい本で、「自分の歯を残すための4つの生活習慣」として口腔内のケアについて丁寧に解説しています。歯磨きのためのポスターまでついています。
そして、あまり内容とは関係ないですが、ヨシタケケンスケさんのイラストが可愛いです(この人のイラスト好きです)。
忙しさにかまけて「歯」を大切にしていないかも・・・という人へ。
『腹を凹ます体幹トレーニング』(2013.8.7 tanakomo)
サッカー日本代表であり、インテルミラノで活躍する長友選手の指導で有名になった木場さんの本です。
はじめに、から引用します。
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なぜ、トップアスリートや仕事のできる人は「体幹(コア)」を鍛えるのか?
昨今、世界で活躍する多くのトップアスリートや、仕事のできるビジネスパースンたちのコメントに、「体幹を鍛える」というフレーズがよくでてきます。
彼らは、「体幹」を鍛えてこそ、体にも、頭にも、ものすごくいい変化がもたらされることを、深く実感し、理解しているのです。
「体幹」を整えることのメリットは、大きすぎるほど。体の中心にブレない軸ができると、運動能力が格段にアップします。疲れにくくタフな引きしまった体に変わり、ウエスト20センチ以上減という方も続出!「脳の働き」や「心の強さ」までパワーアップすることが、続々と明らかになっています。(2〜4ページ)
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いわゆる「KOBA式・体幹トレーニング」として最近有名になってますね。
このブログの読者の方々はヨガをやっている人が多いので、まさにヨガは体幹を鍛えるワークそのものであり、体幹を鍛えることの重要性はよく認識していると思います。
もちろん、フナツのクラスでもこの「体幹力アップ」のワークを取り入れています。
悲しいかな、「ヨガ」という言葉自体に偏見を持ち、拒絶反応を示す人も世の中にはまだまだ多いです。こういった本で、そして「体幹」というキーワードで、自分の身体をきちんと整えるということが認識されていけばいいなぁと思います。
仕事ができるようになりたいビジネスパースンは、自分の身体にも意識を向けてほしいものです。
ちなみに、裏表紙に興味深い質問があります。
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あなたの今の「体幹力」は?
1つでもチェックが入ったら、即、はじめよう!
どうも、疲れやすい。疲れが抜けなくなった
最近、太りやすくなり、おなかも出てきた
姿勢の悪さに気づいて、ギョッとしたことがある
立って靴下を履くときに、よろけたことがある
おしりやおなかなど、体が全体にタレてきた感じ・・・
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都会のビジネスパースンなら、たぶん1つ以上は間違いなくあてはまりますね。
これを読んでいるあなたの周りの家族・友人・知人・会社の同僚などに、「ヨガやらない?」って言ってもスルーされるだけかもしれませんが、「体幹」鍛えないとダメらしいよ、と言えば乗ってくるかもしれません・・・。
『脳はバカ、腸はかしこい』(2013.2.26 tanakomo)
この本は絶対紹介しなきゃ、と思いつつ、忙しくてアップするのが延び延びになっていた本です。
身体のことに興味のある人なら必読です!!
でも書き込みが少々長いのであまり興味のない人はスルーしてください。
著者の主張は徹頭徹尾「脳はバカ、腸はかしこい」です。
まず本の帯から引用します。
表側には、
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腸が脳を支配していた
ダイエットが失敗するのも、タバコがやめられないのも、勉強に弱いのも、腸を鍛えてないから!
キセイチュウ博士、最新書き下ろし
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そして裏側には、
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脳にばかり注目していると見落としてしまう大切な話
脳には性的モラルがない
意志薄弱で偏見まみれ、うぬぼれ屋の脳
腸内細菌が「幸せ物質」を脳に運んでいる
大食いによって癒される脳、壊される腸
脳は糖を欲しがり、腸は糖の摂りすぎを嫌がる
腸を整えると、トキメキ&ドキドキの恋愛が長続き
生物と腸との歴史は40億年、脳とはたった5億年
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いかがですか?
なかなかおもしろそうでしょ。
第一章では、脳がいかにバカであるか、主観的であるか、が書かれています。特に現代日本人が「脳で考える」あまり不幸になっている現実を指摘しています。
おもしろい実験があって(35ページ)、プライミング効果と呼ばれるものですが、昔流行った「ピザピザピザって10回言ってみて」ってやつです。みなさんもぜひ試してみてください。
さあ、これを読んでいる人「みりん」と10回言ってください(電車の中などでこれを読んでいる人は心の中でね、声に出して変な人に思われないように・・)。
さて、では鼻の長い動物は?
もちろん「きりん」!!
ではないですね、答えは「ぞう」ですよね。
実は私たちは脳にだまされているのです。
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また、マーケティング業界には「価格の文脈効果」というものがあります。牛乳、いちご、豆腐をただ並べても、見たままの価値しかありません。しかし、これに「農家の牛乳」「銀座のいちご」「京都の豆腐」とパッケージに書けば、価値のあるものに変わってきます。けれども現物はまったく変わっていません。脳がそれらの食品を価値あるものと勝手に解釈するのです。(35ページ)
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思い当たる節はたくさんありますよね。
発達した脳がさまざまな不幸を招いている実例が他にもたくさん書かれています。
さらに、生物の進化において、最初に神経系ができたのは腸なのです。ヒドラなどの腔腸動物の腸の中に初めてニューロンと呼ばれる神経細胞が出現し、そのような動物は、腸が脳の役割をしていたわけです。そしてその腔腸動物が、2種類の系統、ひとつは昆虫などの腹側神経系動物と、私たちの祖先である背側神経系動物へと進化したわけです。
そうです(かなり進化の過程をすっとばしますが)結局私たちはミミズと一緒なんです。
人体は、入って出ていく一本の管であり、そのところどころが進化して肥大しただけですね。
以前ここでもアップしましたが、脳はつぎはぎだらけの、建て増しや増改築を重ねてもとの形がなくなってしまった建物のようなもので決して万全じゃない。
そして、著者がこよなく愛するサナダムシやミミズの話になります。「えー、気持ち悪い」って言わないでください。著者の説(最近かなり肯定されています)では、人間は腸にサナダムシを飼っていたほうが健康で長生きできるのです。
この本で紹介されるミミズの生活ぶりや、ミミズがする素晴らしいセックスの話を読むと、私たちのミミズに対する印象が変わることは間違いありません。
そして、ミミズは、私たち人間が生きるために欠かせない肥沃な大地を作るために今日もせっせと土の中を掘り進み痩せ衰えた土の回復を助けています。人類は、ミミズさんに足を向けては寝られません(ってそれも大変ですが)。
話が脱線しました。
第二章は、幸せな脳は腸が作る、です。
なんと、最近有名になっている「セロトニン」という、人間に歓喜や快楽を伝える脳内伝達物質が腸で作られ、腸でも分泌されているそうです。
さらに、腸は人間の、とても大切な機能である、免疫システムの要であるということや、腸の神経系は臓器をコントロールしているという事実。ここで語られる「うつ病」のメカニズムに関する記述もとても興味深いです。(94ページ〜)
あー、こんな調子だとどれだけ書いていきそうかわからなくなるので、端折っていきます。
第三章は、腸を可愛がれば、脳はよくなる、として、幼児期の英才教育は子供をだめにする、とか、赤ちゃんが落ちているものを舐めるのは理由がある、とか、腸を大切にすれば長生きできる、などなど。
第四章では、食べ物は脳をだます、腸はだまされない、としていよいよ腸に(つまり身体に)悪い食品についての記述が始まります。この章、おもしろいです。
とにかく糖質の摂り過ぎがいけないことは昨今いろいろなところで言われてますよね。
ここで、女性には恐い表現がされています。
「スローミイラ現象」
おおお、イメージすると恐いですね。そうです、まさに「老化」です。
それに加えて、(これ、けっこうショックだったんですが)トランス脂肪酸の害。ちなみに、これは若い人たちがコンビニで買う食べ物にはほとんど入っています。
「ゴキブリも食べないマーガリン、いつまでも腐らないフライドポテト」(206ページ)みなさん、マーガリンがいったいどういうものなのか知ってますか?
知ってしまうとちょっと食べたくない・・・。
えー、長々と紹介しましたが、213ページから始まる、著者の実践する「腸が喜ぶ」生活習慣のところだけでも、本屋さんで立ち読みするといいと思います。
27項目あります。
フナツもひそかに・・、できるところから・・・、なるだけ・・・・、実行しています。
あー、もちろん著者はお医者さんです。東京医科歯科大学名誉教授です。思い込みや自身の生活体験だけで断定的なことを書く人ではありませんので(最近の健康本に多い)安心してください。
そして、最後の「あとがき」がとてもキュートです。
『ねこ背が治って心も体も強くなる!』(2012.11.12 tanakomo)
この本はヨガの参考文献にしようかどうか迷いましたが、こちらにアップします。
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この本はヨガインストラクターのS先生から教えてもらったものです。(S先生、ありがとうございます)
まず、読んでみての感想、
「ねこ背」っていろんな原因があって、そしていろんなことに影響しているんですね・・。
この題名はホントです。
この本を読むだけで、半分以上「ねこ背」は直ったも同然!
そして、ここに書いてあるワークをやればかなりのところまで「ねこ背」は治ります、というか気づかないうちに徐々に身体が変わっていくと思います。自宅でできる具体的で簡単なワークと、気をつけるべき生活習慣、そして日々の心のあり方などすぐに使える知識が満載です。
文章も読みやすい。
そうです、気づいた人もいると思いますが、実は先日のワンコインヨガクラスでやった「ねこ背矯正ワーク」はこの本の受け売りです。
先日のクラスに出ていない方も、この本を読んできちんとワークを行えば「ねこ背」は治ります。(たぶん・・)
少し内容を紹介しますね。
まず、「ねこ背」の原因を知らなければ、いくら矯正しても直らないこと。「ねこ背」はかなり精神的な原因が多いのです。
想像してください。
銃弾が飛び交う戦場で胸を張って歩けるでしょうか?
誰か他の人が怒られている職場で、ひたすら自分の仕事に没頭しようと思ったとき、人は胸を張っていられるでしょうか?
たぶん、「ねこ背」になっているはずです。そうです、「ねこ背」って精神的な防御反応なんですね。
「消極的なマインドのまま、無理に背筋だけを伸ばしても、本心に合わないので、つらくて維持できないのです」(58ページ)
また肉体的にも、「ねこ背」になる/ならないのポイントは、筋肉ではなく、「骨」だということを認識すること。
背筋を伸ばそう(筋肉の動きに頼ろう)とするのではなく、重心の位置を確認する作業、そしてその位置の確認が無意識にできるようになれば、自然に「ねこ背」が治っていくわけです。
78ページからの、<これで一生背中が丸まらない、かなり意外な「10の習慣」>は、とてもいい習慣だとフナツも思います。
ぜひ、これは本を買って(いい情報をくれてありがとうと著者に印税というお礼を払って)、読んでみてください。
「足はどこから生えている?」とか「歩くダイエット」などなど、おもしろいですよ。
他にも、「肩こり」や「腰痛」を直すためのかんたんなワークや注意点があります。
『図解養生訓』(2012.10.16 tanakomo)
昨日のヒーリング&リラクゼーションヨガのクラスで、エイジングについて参加者の方とお話ししていた際に紹介した本をアップします。
貝原益軒が江戸時代に書いた「養生訓」はあまりにも有名ですが、実際に読んだ人は少ないかもしれません。実はフナツもこの本の名前だけは知っていましたが、読んだことはありませんでした。
この本は、その「養生訓」を、「声に出して読みたい〜シリーズ」で有名な斉藤先生が、わかりやすく解説し、とても読みやすく、そして毎日の生活に取り入れやすいように書かれた本です。
英語の授業で、貝原益軒に関するエッセイを読んで興味を持ったのが始まりで、そしてこの本の出版社が、フナツが愛読する雑誌「ウェッジ」を出版するウエッジだった(雑誌ウエッジの最後にこの本の広告があった)ので買ってみました。
これがなかなかいいんです。
サブコピーに「ほどほどで長生きする」とありますが、貝原益軒は、養生とは単に「身体を労る、健康に気をつける」だけのものではなく、「人が正しく生きる」、「心の根本を押さえ、無理な生き方をしない」といったもう少し広い意味でとらえています。
少し、斉藤さんの書く「あとがき」から引用してみます。
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また、私の研究は、自分の身体を実験台にして論文を書くスタイルで、見たことや感じたことを細かく記して資料にします。『養生訓』にも益軒自身が試したことが書かれてあり、実験と知識が合体した書物であることに、非常に親近感を覚えました。
その後、再び『養生訓』と出会ったのは、年を重ねて体調を崩し、若いときのように無理がきかなくなったときです。大学生のころにはピンとこなかった益軒の言葉が、改めて読むと心にスッと入ってきたのです。「食べすぎないようがいい」とか「何事もほどほどに」という助言は、まるで身近なおじいさんに言われているようで心に染みました。そして実際に、益軒のアドバイスを取り入れて生活するようになると、そのよさがさらにわかってきました。
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いかがでしょうか?
もし、フナツを見て「元気そうだ」「実際の年より若く見える」と感じた人は、フナツが折にふれてこの本(実際には益軒の教え)を読んでいると思っていただいてけっこうです。
そして益軒って人もけっこうすごいんです。
益軒が江戸時代に書いた京都のガイドブック『京城勝覧』は、他のガイドブックが名所旧跡をただ並べたものであるのに比べ、一日で歩いて回れる名所旧跡の具体的なルートという紹介の仕方をしているというところに他のガイドブックとは違う特長があります。
きちんと具体的に、そして合理的に物事を考える人だったんですね。彼のルートや、人が一日で回れる距離などは現在から見てもとても正確で役立つものらしいです。
「ああ、なんかちょっとオレ(アタシ)年とったかなぁ」と最近思ってしまった人(いくつであろうとかまいません)、一度この本を手にとってみることをお勧めします。
『身体感覚をとりもどす』(2012.7.26 tanakomo)
『声に出して読みたい日本語』の斉藤先生の本です。
(声のワークショップの参考文献としても取り上げています)
斉藤先生の専門は教育学ですが、そこに身体論を持ち込み、実際に身体を動かして何事かを理解していくというアプローチをとっておられます。こういうアプローチには大賛成ですね。
何事もまず「身体で覚える」ということは大事ですね。頭でわかっていても身体は動いてくれない。
いやいや勉強は頭を使うんだろ?と思った方、
たとえば何かを暗記する際も、書いたり口に出して読んでみたりしませんか?語学だって話したり聴いたりすることが上達の早道だし、音声学だって、音声器官のしくみとか、ある言語音の分析とか、子音の特徴三要素(生態振動の有無、調音点、調音法)なんかは、まずは自分の口で確かめたほうがわかりやすい。
仕事の場面でも、
職人さんなんかはもう完全に頭より身体を使って覚えるし、コックさん板前さんなんて言うまでもない。ビジネスの営業だって、知識より実践、プレゼンだって数こなせばなんとかなる(ちょっと乱暴な言い方ですが)。
つまり、教育の現場では身体も大事だと・・。
他にも、人間の知識は身体的記憶が多いんですね。
例を挙げれば「箸の使い方」なんていうのは、非常に緻密で繊細な作業を必要としますが、さまざまな要素がからみあっていて、頭で覚えていても何ともならない。
さまざまな性質形状の食物を、細い2本の木の棒だけで、切ったり、取り外したり、つぶしたり、細かく分けたりして、すくいあげ口元に運ぶ・・、なんてエレガントな作業かと思います。
全然本題に入れない・・。
内容はクリックしてもらって、ある程度サイトを見てもらえばわかると思いますが、まずは日本文化は「腰肚文化」であると斉藤先生は規定するわけです。そして「型」が大事である、と。
斉藤先生は「自由は、適切な制約や抵抗があったほうがより充実するものである」という大正時代の自由教育の中心人物である木下竹次の言葉を引用し、「型」とはそういった制約であるとします。(30〜31ページ)
そして、第四章<息の文化を取り戻す>では、ヨガの呼吸法を紹介して呼吸の大切さ、たとえば「呼吸を合わせる」とか「息づかい」とか「呼吸を会得する」などさまざまに話は発展していきます。
さらに、第五章<力と形の「自己形成」感覚>では、自分の声の響きを感じ取り、それがどう自分の身体を振動させているか、自分の身体の内部の響きを聞き取ることで自分の身体を「感じる」ことができると言います。
最後に、終章<二十一世紀の身体>では、「身体文化カリキュラム」による、教育の現場での具体的な実践例も書かれています。
みなさんのお近くに小中高の先生がいらっしゃったら、この本を紹介してみてもいいかもしれません。
全編通じて、さまざまな事例や古今のエピソードを交えて書かれているのもおもしろいです。
『野口体操 感覚こそ力』(2012.7.26 fbpage)
でもって、もしさきほどの本で「野口体操」に興味を持った方がいたら、この本を薦めます。
実は、野口三千三先生自身が書かれた、岩波現代文庫から出ている『原初生命体としての人間』という名著もあるのですが(この本はすごいです、何度読んでもその度に新しい発見がある、まさに名著です、でも)少々読みにくいので、こちらを推薦します。
こちらの本は、まさにお弟子さんである羽鳥さんが実体験したことが、授業風景や今でいうWSのようなものの体験談とかエクササイズの描写などで、リアルにイメージできるように書かれています。
さらに、野口先生がおっしゃっていることを羽鳥さんが噛み砕いて説明しているところなどがわかりやすいと思います。(巻末にインタビューもあります)
えーと、ホントにここで簡単に説明できないくらい、内容がぎっしりつまった本です。自分の身体というものに興味がある人、他人の身体に接することが多い人、人間の身体はどういう仕組みになっているんだ、といった諸々のことが気になっている人にこの本を強くフナツ(独断と偏見で)薦めます。
レジュメには参考文献としては挙げませんが(ちょっと分厚くてボリュームたっぷりだし、どちらかというと受講者よりも講師のほう向けって感じもするので)、フナツはボイストレーニングやヨガを教える際のさまざまな知見を、ヒントをこの本から得ています・・・、ということで。
『身体感覚をひらく』(2012.7.26 tanakomo)
ボイトレ関連の参考文献で、声にこだわっていないごく普通に読める本をもう一冊。
フナツが筋肉をゆるめる、リラックスのためのやっているワークの参考にしている本です。
かなり以前に、ここかexblogのほうで取り上げたと記憶していますが、いい本なのでもう一度。(偶然にも昨日アップした本と一緒で「身体感覚」という言葉が題名に入っていますね)
みなさん「野口体操」を知ってますか?
劇作家・演出家の鴻上尚史さんは(鴻上さんの本もフナツのボイトレの主要な参考文献ですが)、「野口体操は、日本が世界の誇る文化です」とまで言ってます。
この本は、岩波ジュニア新書として出版されていることでもわかるように、たくさんの人(特に若い人向け)に、野口体操を知ってもらうための本であり、わかりやすく、イラストやたくさんの写真とともに具体的な野口体操のエクササイズがわかるようになっている本ともいえます。
少し「はじめに」から引用します。
野口先生のお弟子さんである羽鳥さんと共にこの本を書いた松尾さんは、スポーツ選手の身体について書き、以下のように述べます。
*****
大切なのは、身体をいかに効率的にゲームの状況や相手の動きに合わせてうまく動かすことができるかであり、小さな動きや状況の変化を感じ取り、自らの感覚を生かしながら動けるかなのです。この基本となるのが身体感覚です。これは必ずしもスポーツだけではなく、演劇やダンス、さらには音楽等にも共通する者といえましょう。
(中略)
身体感覚の脆弱化にともなって、生きている実感も希薄になっているのかもしれません。生きている実感とは意識や理屈というより身体全体で感じるものです。今まさに生きる実感とは、生きるとは何かを身体から問い直さなければなりません。そこでこの問題を解く鍵になるのがやはり身体感覚なのです。
*****
そして、
1、「からだ」が気持ちいいと感じるのはどんな時?
身体をどのように理解すればいいのか、
2、筋トレだけでは本当の身体はつくれない
どのようにトレーニングしたらいいのか、
3、野口体操に学ぶ身体感覚
そもそも「体操」とは何?どうやって生まれた?などの歴史的説明から野口体操がどのようなものなのかを知る。
<野口体操では、「より高く、より速く、より強く」勝つためのベクトルで考えるのではなく、感覚がいきいきと生かされ、からだがのびのびする可能性の高いからだの動きと、それに備わった自然な強さが担保されるからだを探ります>(66〜67ページ)というわけです。
そして、
<私たちは子どもの頃から「頑張れ」と叱咤されることはあっても、力の抜き方などは教えられることなく過ごしてきました。そこでレッスンを始める前に、野口体操で大切にしている「力を抜く」ことの積極的な意味を紹介しておきましょう>(70ページ)という感じでエクササイズに入っていきます。
ちょっとここで野口三千三先生の言葉を引用します。
<動きが成り立つための絶対必要条件はエネルギーの総量ではなくて、同一系の中において「差異」があることなのである>
美しい・・・。
この言葉の意味を知るためだけでもこの本を読む価値があるとフナツは思います。
ぜひ本屋さんで、4、からだに気づくためのエクササイズ、に載っている、いろんなエクササイズの写真を見てみてください。(特に142ページの逆立ちの写真がきれい、実はヨガのハンドスタンドもこんなふう)
『実年齢より20歳若返る!生活術』(2012.6.28 tanakomo)
南雲先生、スゴイっす。
本の帯の写真を見てください。とてもじゃないけど56歳には見えない。フナツも若く見られる方だけど、負けたって感じです。(別にそんなこと勝ち負けじゃないんですが・・)
この本は、「人間が自然と調和しながら、若く美しく健康に生きるための自然の法則を分かりやすく解説している(プロローグより)」本です。
具体的な生活術がたっぷり。
おもしろいです。フナツが請け合います。
本屋さんでパラパラとめくってみてください。
たぶん、買って家でもっとじっくり読みたいと思うはず。
この本読んで、実行して、自分のトシを忘れましょう!
『脳に悪い7つの習慣』(2012.5.21 tanakomo)
脳関連を健康カテゴリーに入れるかどうか悩みました。
自己啓発とも言えるしハウツー本ともいえます・・。まあとりあえずここで・・。
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これいいっす。
著者は日本大学医学部教授で、日本大学医学部付属板橋病院救急救命センター部長を兼任されています。(漢字が多い)脳波が止まってしまった瀕死の病人怪我人を何人も救い、まるでアメリカの有名ドラマ「ER」を地でいくような活躍をされています。
また、北京オリンピックでの水泳日本チームに「勝つための脳」という講義を行って、北島選手他の活躍を引き出した人でもあります。
内容は、ぜひ下のサイトをクリックして読んでほしいのですが、おもしろいのは「これをやれば」ではなく、「これをやめる」だけで頭の働きが倍増するという書き方です。
そして、脳が考え、記憶し、それらを活用するしくみにもとづき、脳の力を引き出すのに適した順番でも書かれています。
「脳は気持ちや生活習慣で、その働きがよくも悪くもなる」っていう言葉は魅力的じゃないですか?
これで脳のパフォーマンスを上げるぜぃ!ってことで。
『ユルかしこい身体になる』(2012.2.27 tanakomo)
副題が「整体でわかる情報ストレスに負けないカラダとココロのメカニズム」で、本の帯にも<骨盤が固まると「うつ」になる!情報の洪水に溺れずに生きるカギは胸椎と骨盤にあった!進化するネット世代のカラダを人気整体師が解き明かす>とあったので、フナツはてっきり「ユルかしこい身体になる」ための具体的な整体術、身体を整えるテクニック、という内容だと思って注文しました。
本の宣伝だけを見てインターネットで注文するとたまにこういうことが起こりますね。
この本の内容は、煎じ詰めれば、<整体師から見た、情報が氾濫した時代における現代社会時評、及び(中高年男性から見た)そのような時代に生きる若者についてのいくつかの考察>ということにつきます。
そう思って読めばとても示唆に富んだ本でした。
著者によれば、人間が興奮状態にあるとき骨盤底が固まり、リラックスすると骨盤がゆるむといいます。現代人は情報過多で興奮状態になり、骨盤が固まってしまいがちになるので注意が必要なのですね。ずっと緊張状態で固まってしまうと「うつ」になるらしいです。
そして、胸の真ん中の胸椎5番がセンサーとなって情報に対応している(胸がキュンとするって言いますよね)ので、そこが固まると呼吸が浅くなってしまうという症状も見られるそうです。
しかし、現代の若者は情報過多の時代に身体が反応し、中高年よりも骨盤の開閉が自在に行われ、胸椎の固まりもすぐにほぐれる、そういう身体になっているそうです。
そして、その若者の身体の傾向から見た、現代の若者に関する考察につながっていくわけです。
「最近の若いヤツはさっぱりわからん」という中高年男性にお勧めです。
206ページには「何を考えているのかわからない若手社員との接し方」というジャストな一節もありますので、お徳用です。
ちょっとだけ引用します。身体と呼吸との関係でおもしろかったところ。
著者は、あふれる情報によって胸のセンサーが過敏になり、めまぐるしく反応し、緊張度が高まる傾向にある若者に、そういった状況に対応して手首がとても柔らかい男性が多くなっているという観察結果を書いています。
無意識のうちに指先や手首の緊張をとることで、腕をとおしてつながっている胸をゆるめているらしいです。そしてその後こう述べます。
******
胸が緊張していると、首も一緒に緊張する。要するに胸から上が緊張してしまっている状態になる。こうなると、思うように身体をコントロールすることができない。身体の動きがぎこちなくなるだけでなく、集中力が保ちにくくなり仕事や勉強もはかどらない。このことは、呼吸との関係で説明するとわかりやすい。
人間は高い集中力を発揮している時には、長く静かな息を吐くことができている。逆にいえば、静かで長い息を吐くことができていれば、その人はとてもよく集中している。仕事でノリにノっている時であれば、たとえ周囲からは忙しく動いているように見えていても、そういう呼吸になっているのである。(第一章、36ページ)
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また著者は、昨今マーケティングでよく言われるように、昔の若者と現代の若者は消費行動が違う(たとえばクルマを買わないとか、草食系とか)という点も身体との関係で説明しています。「デジタル・ネイティブといわれる20代にとって、一番関心があることは、自分の気分がいいかどうかである。これは端的に、身体が気分いいかどうかということだといってもいい」(第五章、185ページ)というわけです。
現代の若者だって自分を快適にしてくれる何かを求めている、ただ、これまでのようにその自分を快適にしてくれる何かを、自分の快適さを犠牲にしてまで(死ぬほど頑張ってまで)獲得したくはないのだと述べたあとでこう続けます。
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クルマに限らず、過去においてみんなが欲しいと思っていたものも、実は必要なものではなかったと多くの若い世代が気付いている。外側からの要請や、誰かからの指図ではなく、自分の身体の内側から、気分がいい、気分が悪い、頑張る、頑張らない、という感覚が自動的に生まれてくるようになると、身体が必要と感じる以上のものはいらないと感じるようになる。(同章186ページ)
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ふむふむ、ですよね。
でも、これを読んでいる20代のワカモノは「センセー、何を今さら・・、それって普通っすよ」と感じているでしょうね。そうなんだよ、オジサンは知らなかったんだよ、というかわかっていたようでわかってなかったんだよ、キミタチのこと。
「ユルかしこい身体になる」ためのノウハウはあまりなかったけど(最後のほうに少しあります)、けっこう上記のような観点からはこの本はとてもおもしろかったです。
さて、ここからはフナツの独断と偏見ね。
どこぞのクルマ会社が、若者へ向けてのアピール、若者をクルマに回帰させようと「スポーツタイプのクルマ」をアピールしていますが、はっきりいって、それはただオッサンが乗りたい(買いたい)だけでしょう。経営陣や研究部門の(決定権を持つ)お偉いさんの若い時代の若者像をただなぞっているだけにすぎないと思います。
現代の20代が欲しいクルマのイメージを、はたしてクルマ会社は持っているのかな?ほんとにっ!と思ってしまいます。
おっとっと、このブログでは批判的なことは(あまり)書かない約束でした。