須藤元気『やりたい事をすべてやる方法』幻冬舎文庫 (2016.1.3 tanakaomo)
著名な格闘家で引退後マルチに活躍されている須藤元気さん。
元気さんの、音楽活動(ダンス)「WORLD ORDER」のPVはここでも何回かアップしました。ストリートでのパフォーマンスが素晴らしい映像ですよね。
なんかこの人違うなぁと思ってたら、お正月の本屋さんでこんな本を見つけました。
巷によくある自己啓発本のひとつですが、けっこういい事書いてあります。
とても「元気」になります。前向きな気持ちにさせてくれます。
そして、この本の良さはとても「薄く」て「読みやすい事」です。
本を読む事に慣れてる人ならあっという間に読み終えることができそうです。つまり次に持ち越さないで一気に読み終えることができる。(←コレ、大事!)
Onenessのことも書いているし、元気さん、けっこういろいろわかってるなぁって感じです。
心に残ったフレーズと、「あとがき」をちょっと引用しますね。
フナツは、第2章がおもしろいと思ったんですが、その中の一節(P.167)。
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自分自身が変わったなと思ったとき、
それを試すような試練、
最終試験というものが訪れる。
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そして、あとがき、
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美辞麗句なら誰でも言える。僕もいろんなことを書き連ねてきたが、もしかすると綺麗事のように思われることもあるかもしれない。でも、決してそんなことはないと言いたい。迷ったり悩んだりしながら生きてきたなかで、僕なりにではあるが、心の底から思えることを書いたつもりだ。
誰にでも何かしらの鬱屈した思いがあって、キツいと感じながら生きているように、僕もまた同じような気持ちを感じつつ、格闘からミュージシャンへの道を歩んできた。困難なときこそ、自分が望む・理想とする方向に向いて行きたいと願い続けてきた。現状を打開して、なんとか幸せになってやろうと強く思い続けてきたのである。
(中略)
あなたの人生に、この本が少しでも役に立てば、それは僕にとっても幸せなことだ。
WE ARE ALL ONE.
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はい、お気付の方も多いとおもいます。
久しぶりの「読んだ本アップ」です。
それだけ気持ちの余裕ができたこともあります。
でも、実は、
「久しぶりの、読んだ本のアップは何がいいかなぁ、ここ数ヶ月に読んだ本のベスト本にしたいなぁ、でもtanakomo読んでるみんなが興味を引くような本のほうがいいかなぁ」なんて考えてたフナツがいて・・・、
そうなんです!
そんなこと考えていたら、結局は読む本ごとに「これをアップしよう」って、そして次の日に読んだ本にまた感動して「よしコレだ!」なんていってキリがないんですね。
そうじゃないだろ!
読んでみていい本だなぁと思ったらすかさずアップ。それをtanakomo読者がどう受け止めるかなんてフナツには関係ないんですよね。
その人に役に立つか、スルーされるかなんて、フナツには関係ない。
フナツが「いいなぁ」ってのを伝えるのがtanakomoだぁ、と、まあ、ごくごく当たり前のことを思いまして・・。
相変わらず長文になっておりますね〜。
ははは、書きたくて、話したくて、伝えたくてたまらないのがフナツだということでご了解いただいていると思います。
読書日記、復活です!!!
乞うご期待!
喜多川泰『手紙屋 蛍雪編』ディスカバートゥエンティワン(2016.2.18 tanakomo)
はい、続けて喜多川泰さん、もう一冊いっときましょう!
この本も一気読みです。
そして最後は、やっぱり泣けました。
「シリーズ10万部突破」ということですが、売れてるのもよくわかります。
こちらとセットになっている、『手紙屋〜僕の就職活動を変えた十通の手紙〜』に関しては、後日またここで紹介しますね。
(出版元の)「ディスカバー・トゥエンティワン」さん、ホントいい仕事してます〜!
こちら、本の帯の背中部分には
「自分らしく生きたいあなたへ 未来を拓く10の教え」とあります。
とても抽象的ですが、本を読んだ後は「うん、うん、そーだ、そーだ」ってうなずけます。
もう少し本の帯から、
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何のために勉強するんだろう?
何のために大学に行くんだろう?
進路に悩む女子高生、和花が「手紙屋」から学んだ、
勉強の本当の意味とその面白さ
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「主人公といっしょに勉強することの意味を見つめ直す本」ともあります。
もちろんこの「勉強」というのは、本の中では女子高生の話として語られていきますが、私たち大人が生涯かけてやっていく「勉強」のこともふくまれます。
人はなぜ勉強しなくてはいけないのか?
人は何のために勉強するのか?
フナツは大学生にも大学修了生にも、そして社会人にも、(いろいろなことを)教えることを仕事にしていますが、ホントに学ぶことの多かった本でした。
ほんの少しだけこの本の内容がわかる一節を「あとがき」から引用してみます。
著者の喜多川さんは、「学校の勉強なんて、できても意味がない。そんなのできなくても、将来成功できる」といった、よく言われる言葉、成功している人の著書にも書かれているようなフレーズをまず引き合いに出します。
そして、この言葉が「勉強なんてしなくていい、しても意味がない」という意味にとらえられがちだが、そういう意味ではないと書きます。
確かに「できる」「できない」に重要な価値はなく、点数や成績、⚪⚪大学合格のためにしか勉強を使えないのであれば、しなくてもいいかもとしながら、以下のように述べるのです。
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でも、決して勉強は「しても意味がない」ものではありません。今の私たち人間の生活すべては、勉強による英知の継承によって成り立っているのですから。
だからこそ僕は、僕たちの持っている「勉強する権利」を大切にしていくべきだと思っています。みんなで上手に使って、大切にしていかなければいけない、と。
そして、「勉強を上手に使うとはどういうことか」という僕なりの考えが、
「その経験を自分という人間を磨くために使う」
「その経験を他の人の役に立つために使う」
ということ(実はこの二つは根本的には同じことなんです。どちらかを究めて達成しようとすれば、もう片方も自然に達成されますので・・・・)。大人のする広い意味での勉強であれ、受験勉強であれ、同じことです。多くの受験生を指導し、彼らのその後の人生を見てきた結果、今はそう考えてます。(p.243~p.244)
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そして、この本の面白いところは、なぜ勉強しないといけないのか、や、勉強の大切さ、といったこと以外に、うまく勉強を続けるコツ、や、モチベーションの保ち方、といった具体的な処方箋までくれるところです。
これは大人にも十分に通用するテクニックであり、フナツもぜひ日々の仕事の中に取り入れてみようと思いました。
本の題名に興味を持った方もいるかもしれませんね。
「手紙屋」??
はい、物語の中で(この本もさきほどアップした本と同じで物語仕立てです)すごく重要な小道具です。
この本を読んで、手紙っていいなぁ、って思いました。
利便性や速さを競う、メールやLINE、いわゆるSNSにおけるメッセージとはまた違った魅力があります。
さて、最後にちょっと本の内容を引用してみたいのですが、
まずしょっぱな驚かされるのが、大学へは行きたい、でも将来の夢も何をしたいかもわからず目標もないので、いまひとつ勉強する気になれない主人公に対して手紙屋さんが書いた言葉がすごいんです。
手紙屋さんは、主人公の将来の進路に関する悩みは、やはり同じようなたくさんの高校生が同じように悩んでいると思うが、その悩みを解決してもらおうと思っていてはいけない。解決するのはその本人であって、手紙屋さんは勉強に対する見方を、主人公とは違った角度から紹介するだけだと前置きして、次のように書きます。
「これからしばらくの間、勉強するのをやめてほしいのです」(p.49)
フナツ、この辺読んで、ちょっとビックリ。
俄然、読むスピードと集中力が増しました。
そしてそれ以降の手紙において、手紙屋さんは、とても丁寧にわかりやすく、なぜ勉強するのか、どんなふうに勉強すればいいのか、などを主人公に伝えていきます。
最初にも書きましたが、最後の手紙のところは、じわ〜っときました。
ぜひ、最後の手紙の最後の部分、「何のために勉強しないといけないの?」の答えを読んでみてください。というか、そこまで読み進めてください。じんわりと感動が広がります。
もちろん、教育関係にお勤めの方々にオススメなんですが、受験生の子供を持つ親御さん、人に何かを指導している人、そして社会人になってから勉強を始めようという方々にぜひ読んでいただきたいと思います。
本の内容とは関係ないですが、フナツは、いつも、どんな授業でも、セミナーでもワークショップでも同じことを言います。
「勉強って楽しいですよ」
ではでは
喜多川泰『賢者の書』ディスカバートゥエンティワン(2016.2.17 tanakomo)
みなさんは、喜多川泰さんを知ってますか?
フナツは知りませんでした。
そして、もっと早くに知っておけばよかったなぁと、読了後しみじみ思いました。
もちろん、本とのめぐり逢いもやはりそれに適した時期があると思っているので、この時期この本とめぐり逢ったことにきっと意味があるんでしょう!
本の内容が、頭にも身体にもすっきり染み渡った感があります。
まさに今がその染み渡ることに最適な時間だったのでしょう。
ははは、また前置きが長い。
本の帯には「あなたの心を成長させる、ファンタジー自己啓発書」とあります。
読み始めてすぐに、パウロ・コエーリョの『アルケミスト』や、ジェームズ・レッドフィールドの『聖なる予言』を思い出してしまいました。はい、フナツはそういう世代です。この2冊を読んだことのある人も多いと思います。(シャーリー・マクレーンの『アウト・オン・ア・リム』も入れてよと言う人もいるかもね)
ちょっと乱暴な「たとえ」ですいません。でも、少年がいくつかの出来事を通じ、成長していくという物語仕立ての自己啓発書です。
著者略歴を見ると、塾を創立されて「生徒の能力を最大限に発揮する方法を求めて自己啓発書の研究を始め、自ら執筆活動を始める」とありますので、上記2冊も間違いなく読んでいらっしゃることでしょう。
もう少し本の帯から紹介すると、
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少年サイードが
9人の賢者から学んだことは
はたしてなんだったのか?
人間は何度だって
生まれ変わることができる
そしてその可能性は
すべての人にある。
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最高の賢者になるために、あらゆる成功を手に入れるために少年サイードの旅が始まります。
単なる自己啓発書と違うのは「説教臭さ」や「読みにくさ」、そして「著者の成功体験に基づいた(だけの)真理」みたいなものがほとんどないことです。
導入のエピソードから、どんどん引き込まれていきます。
ひとりひとりの賢者たちの言葉のなんとわかりやすいこと。
そして、最後の賢者とめぐり逢うとこなんか、もう、涙、涙、って感じです。
この「物語仕立て」というのが、単なる自己啓発書とこの本との違いでしょう。
最後に、どこか引用しようかと思って、ページの上を折ってるところ(たくさんある)をパラパラ読んでみたんですが、どれも外せないって感じ。どこもいい。
「最近、ちょっと人生つらいっす」って感じてる人。
「あ〜、毎日なんだかなぁ」って思ってる人。
「なんかこのところ停滞してるな」って落ち込んでる人。
もちろん、このアップを読んで、ちょっとおもしろそうだなと思ってる人。
お勧めです。
やすさん、いい本を教えてくれてありがとう!!
ではでは
『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』(2015.1.20 tanakomo)
先日「週プレ」(週刊プレイボーイ)をけっこう読むんですって書きましたが、その理由のひとつは、橘玲さんのコラム「真実のニッポン」を読むことです(「ホリエモン×ひろゆき帰ってきた! なんかヘンだよね」や「帰ってきたOL萌え萌え倶楽部」も好きなんですけどね・・)。毎回読み応えがあっておもしろいです。
そんなわけで、今回は以前から注目の書き手だった橘さんの本を何冊か紹介します。
まず1冊目。(またまた幻冬社さんです)
初版が2010年なので、細かいところや取り上げられたエピソードが少々古い気がしますが(執筆は2008〜2009年頃でしょうから)、さまざまな書籍からの引用なども含めて、ビジネスマンには(特に若い人たちにとって)いろんな角度から社会を見るための、とても実用的な本だと思います。
書名に「残酷な世界」とあるのは、(本の帯から引用します)<ワーキングプア、無縁社会、孤独死、引きこもり、自殺者年間3万人超など、気がつけば世界はとてつもなく残酷>ということです。そんな社会で幸せに生きていく方法を紹介するというわけですね。
最後に示されるその方法は、決して万能な処方箋ではなく、みんなができる(やりたくなる)ことでもないんですが(それに具体的なことはあまり書いてない)、でも、なぜそうなのか、そういうやり方でないといけないのかが読んでいくうちに(さまざまなエピソードと、橘さんによる分析によって)わかってくるという本です。
それらの解説を読むだけでとても雑学的な勉強になります。(もちろんそれが正しいかどうかは別にして)
さらに「あとがき」に「この本は、自己啓発のイデオロギーへの違和感から生まれた」とあります。
もう少し本の帯から引用しましょう。上記の文章に続けて、<だが、「やればできる」という自己啓発では、この残酷な世界を生き延びることはできない。必要なのは、「やってもできない」という事実を受け入れ、それでも幸福を手にいれる、新しい成功哲学である>とあります。
以前このブログでも、宮崎学さんの『「自己啓発病」社会』という本を紹介しました。現代人が「自己啓発」という病にかかってもがいていること、「自己啓発」というジャンルのちょっとうさんくさい本のことを告発した本ですね。
まず橘さんが書くのは「頑張ってもどうしようもないことがある」こと、そして頑張って自分を変えたら世界が変わるという自己啓発書の教えはとても困難を伴うということです。
そして序章で紹介するのが、一時期話題になった「勝間和代と香山リカの論争」です。その論争の中身はここでは書きませんが、「こうやって成功しよう」というマニュアルを提唱する勝間さんと、「みんな幸せになる権利がある」という香山さんでは論議がかみ合うわけがありません。橘さんも、この二人の論争そのものはさしておもしろくないが、この論争の背後に現代のさまざまな問題点が隠れているといいます。
誰でもイチローや錦織みたいになれるわけじゃないし、ビルゲイツやザッカーバーグみたいにビジネスで成功できるわけじゃない、頑張るだけ無駄だ、それにたとえ頑張ったってすべての煩悩が消えるわけでもない。
自由と平等は近代において獲得された素晴らしい概念だ。努力しない奴はおちこぼれて当然だという考え方は「弱者否定」で、いまひとつ良くないんじゃないか。
しかしイチローほどじゃなくても、頑張って成功した人間はたくさんいる、頑張ればそれだけ報われるんじゃないか。
などなど、いろいろみなさんも考えますよね〜。
橘さんはこれらの事柄にいろんなエピソード、アメリカや日本での研究例などを引用してさまざまに解説します。「遺伝のこと」(生まれながらに能力は決まっている??)とか、「差別を擁護する良心的な人々」とか「しっぺ返し戦略」とか「愛情空間と貨幣空間」とか、このあたりおもしろいです。
「ひとのこころを操る方法」とか「進化心理学」のこととか、こうやって改めてまとめてもらうといろいろと勉強になります。授業で使いたいなという題材もありました。
そして、いろいろと論拠を積み上げた後に、この本の主題でもある、たった2行の成功哲学が書かれています。
伽藍を捨ててバザールに向かえ。
恐竜の尻尾のなかに頭を探せ。
そう、この2行を十分にわかってもらうためにこの本の中身260ページがあるのです。(たったこれだけ?ってちょっとがっかりしますがまあそういうものでしょう)
こういうものの見方もあるのか〜って、就職する前にこの本読んでおくといいかも、です。
*自己啓発書を否定する本を自己啓発のジャンルに入れてすいません。
でもこの本のジャンルは「自己啓発」としか言いようがないのです・・。
『嫌われる勇気』(2014.8.13 tanakomo)
久しぶりにとても良質の「自己啓発書」を読んだような気がします。
(書き込み長いです、自己啓発本に興味がない人はスルーでお願いします)
いちおう「心理学」の本なのですが、本の表紙にもはっきりと
<自己啓発の源流「アドラー」の教え>
と書いてあります。
表紙裏から引用します。
***
フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称され、世界的名著『人を動かす』の著者・D.カーネギーなど自己啓発のメンターたちに多大な影響を与えたアルフレッド・アドラーの思想を、一冊に凝縮!!悩みを消し去り、幸福に生きるための具体的な「処方箋」が、この中にはすべて書かれている。
***
そして、アドラー心理学のテーゼが2つ。
「すべての悩みは対人関係の悩みである」
「人はいま、この瞬間から幸せになることができる」
ただ、単にこの2つを読んだだけでは「まあ、そうともいえるよね」ですよね。
フナツもそう思いました。でも・・・、まあ、読んでもらえればわかります、とだけここでは書いておきましょう。上記2つがただのお題目ではないことがわかります。
この本に書いてあることの半分くらいは(これまで読んできた)いろんな自己啓発書に書いてあります。しかし、時系列からすると当然ですが、アドラーの方が早いわけです。
アドラー心理学が創設されたのは20世紀初頭、1900年代の始めであり(ちなみに、1912年が大正元年でそれまでは明治です)、21世紀の今、すでにアドラー没後50年が経っています。
みんなアドラー心理学、もしくはアドラー心理学を読んだ人が書いた本に触発されて本を書いたり話したりしているわけですね。そしてさきほど引用したように、フロイトやユングと同時代を生きた人です。
さらに、心理学の本といっても難解な理論が並んでいるわけじゃありません。
登場するのは、悩める青年とその悩みのひとつひとつに丁寧に答えていく哲人。その二人の話し言葉で、物語形式で語られ、まとめられているのでとてもわかりやすいです。
目次の最初のところを引用します。
***
欧米で絶大な人気を誇るアドラー心理学は、「どうすれば人は幸せに生きることができるか」という哲学的な問いに、きわめてシンプルかつ具体的な“答え”を提示します。この世界のひとつの真理とも言うべき、アドラーの思想を知って、あなたのこれからの人生はどう変わるのか?もしくは何も変わらないのか・・・
さあ、青年と共に「扉」の先へと進みましょう。
***
そして題名もいいですよね?!実はアドラー心理学において「勇気」というのはとても重要なキーワードになっています。
さて、おもしろかったところをいくつか引用してみたいと思います。
まず、第一夜「トラウマを否定せよ」
いかがでしょう?フロイト流精神分析で出てくる「トラウマ」を完璧にアドラーは否定します。
ちょっと極端な例ですが、なぜひきこもりの人がいるのか、の理由は、たとえば過去の親の虐待とかいじめが原因ではない。その人にとっては、ひきこもることが人生の目的なのだ、ということです。
(これについての解説はぜひ読んでみてください、目から鱗です)
フロイト的原因論ではなく、目的論に立脚すべきである。過去に原因を求めず、トラウマを否定しないといけない。人は過去の原因に突き動かされる存在ではなく、なにかしらの目的を達成するために動いているのだというわけです。
ちなみに、今、アメリカでも「トラウマ」は否定されつつある現状があります。
精神分析やさまざまなワークショップにおいて、何でもトラウマのせいにすることによって誘導された被験者が、ありもしない、もしくは気にしていなかったことを針小棒大にカミングアウトすることで、糾弾されざるを得なかった人々(具体的には子どもから訴えられた親、学生から訴えられた先生)たちが復権を求めて反対に訴訟を起こし、本当は存在しなかった虐待や作り上げられた虚構のハラスメントの実態が明らかになる、という現象が起きています。
閑話休題、
青年 わたしが変われずにいるのは、他ならぬわたし自身が「変わらない」という決心を繰り返しているからだ。(P.54)
このあたり、聞いたことがある人がいるかもしれませんね。
哲人 あなたは現在、自分の短所ばかりが目について、なかなか自分を好きになれないとおっしゃる。そしていいましたね?「こんなひねくれた男となんて、誰も付き合いたくないだろう」と。
もうおわかりでしょう。なぜあなたは自分が嫌いなのか?なぜ短所ばかり見つめ、自分を好きにならないでおこうとしているのか?それはあなたが他者から嫌われ、対人関係のなかで傷つくことを過剰に恐れているからなのです。
(中略)
心に深い傷を負うことを怖れている。そんな事態に巻き込まれるくらいなら、最初から誰とも関わりを持たないほうがましだと思っている。つまりあなたの「目的」は、「他者との関係のなかで傷つかないこと」なのです。(P.68)
ああ、この調子では全然終わらない・・。
引用したくなるところがいっぱいなのです。
他にも、
哲人 「他者からどう見られているか」ばかりを気にかける生き方こそ、「わたし」にしか関心を持たない自己中心的なライフスタイルなのです。(中略)あなただけでなく、「わたし」に執着している人は、すべて自己中心的です。だからこそ、「自己への執着」を「他者への関心」に切り替えなければならないのです。(P.183~184)
上記に関しては、第二夜に重要なキーワード「お前の顔を気にしているのはお前だけ」があります。そう、人間ってそんなに気にしてないんですよね、他人のことなんか・・・。
長くなりそうなので、もうひとつだけ引用して終わりますね。
以前ここでもアップしましたが、カート・ヴォネガット『スローターハウス5』という小説の中に出てくるフレーズ、そして初めて知りましたが、なんとキリスト教社会で古くから口承されてきた有名な「ニーバーの祈り」だったんですね。
ぜひじっくり読んでみてください。
「神よ、願わくばわたしに、変えることのできない物事を受け入れる落ち着きと、変えることのできる物事を変える勇気と、その違いを常に見分ける知恵とをさずけたまえ」(P.229)
あ、哲人との対話ということで、ソクラテスの言説をまとめたプラトンの「対話篇」を思い出した人がいるかもしれません。そうなんです、アドラー心理学はギリシャ哲学をもベースにしています。
すごくお勧めの本ですが、この手の本って「いいよ」って言われて即注文するとか、買いに行く人って少数だと思います、というかそうであってほしい。(フナツの回りに実は相当悩んでいる人が多いとは思いたくない)
みなさん、紹介しておいてなんですが、自己啓発本に安易に飛びついてはいけません。
良い本なら、きっとどこかでまた「みなさんがその本を必要とするとき」に巡り会うはずです。
そのとき、ああ、確かこの本誰かのブログで読んだ気がする、とか、あ、フナツセンセーが書いてた本だ!ちょっとパラパラ見てみよう、なんて思い出していただければ幸いです。
もちろん、現在人間関係に悩んでいる人、なんか現状に満足できないで苦しんでいる人にはぜひお勧めしたい本です。(八方美人は疲れるでしょ、ぜひ嫌われる勇気を!)
『豊かに成功するホ・オポノポノ』(2012.10.21 tanakomo)
日本語勉強会の雑談のときに紹介しました。
ハワイの伝統的な人生哲学であり魔法の言葉です。
先入観なしに読んでもらうといいです。
信じる信じないは読み手の自由です。
ヨガ・スートラやブッダの教えと共通する部分がたくさんあるなあと、今さらながら思います。
『ヒューマンバンドをチューニングすればすべてが思い通りになる』
(2012.5.16 tanakomo)
この本をここで紹介するかどうか、実はすごく迷いました。
仲良しの人だけにこっそり教えようかとも思ってました。
このブログの読者は少ないとはいっても、やっぱり誰が読んでいるかわからないですからね。
本の題名、なにかしらマユツバもんでしょ?著者名も間違いなくペンネームだしね。「なんか変な本紹介してる」って、フナツのこと知らずにこのブログ読んでる人はそう思うよな、なんて思ったのです。だからアップするのを迷ってた。
ある朝フナツが新聞を開いたら、この本の広告が一番最初に目に入ってきたんですよね。「これだ!」って。
フナツはそういう勘とか、巡り会いって信じるほうなので(特に本を買うときには直感を大事にしてます、本の方から「私を買いなさい、損はさせない」って呼ばれるので)速攻で注文して買いました。
とてもいい本です。
それだけ書いておきます。
この本を読んでどう判断するかはみなさん次第。
『心の中の幸福のバケツ』(2012.4.tanakomo)
東京でフナツのWSのとりまとめをしてくれているSayuさんから素敵な本を紹介してもらいました。だいぶ前に買ってはいたものの、いろいろとりまぎれていて、先日一気に読みました。
まあ、いつものことですが、もっと早く読んでおけばよかったと思います。いい本は、勧められたらすぐに読むというのが鉄則ですね。
もちろんいつ読もうと、読めないよりは読んだほうがいいんですけど・・。
さて、本の内容ですが、まず大切なテーマとしての「バケツとひしゃくの理論」です。とてもシンプルで理解しやすいメッセージです。
ちょっと引用します。
****
人は誰でも心にバケツをもっている。他人に何かを言われたり、されたりするたびに、このバケツの水は増えたり減ったりする。バケツの水がいっぱいのときは、気分がいい。バケツが空になったとき、気分は最悪だ。
バケツのほかに、ひしゃくももっている。ひしゃくを使って誰かのバケツに水を注げばーー相手が明るくなるようなことを言ったりすれば、自分のバケツにも水がたまる。逆に、ひしゃくで相手のバケツの水をくみ出せばーー相手を傷つけるようなことを言ったりしたりすれば、自分のバケツの水も減る。
なみなみと注がれたカップとおなじように、心のバケツに水がいっぱい入っているとき、人は前向きで意欲にあふれている。バケツに水が一滴、注がれるたびに、人は強くなり楽観的になる。逆にバケツが空のときは、後ろ向きで元気がなく、意欲も低下している。バケツの水をくみ出されるたびに、人は傷つく。
人はみな、日々あらゆる場面で選択を迫られている。自分とかかわる人の心のバケツに水を注ぐのか、それとも水をくみ出すのか。これは重要な選択だ。まわりの人との関係や生産性、健康、そして幸福に大きな影響を与える選択なのだ。(7ページ)
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著者は「本気で貯金したいなら、まずはお金を借りるのをやめなければいけない。これとおなじで、バケツに水をためたいなら、まずバケツの水をくみ出すのをやめなければいけない」とし、毎日バケツに水を注ぎ続けていくことの長期的な影響を侮ってはいけないと書きます。本人には直接見えなくても、その影響は確実に広がっていくのだと。自分の、そして相手のバケツに水を注ぐたびに、何かが動き始めるわけですね。
そして著者は以下のように述べます。
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今日からすぐに実践しよう。まずは自分にとって、いちばん大切な人のバケツに水を注ごう。自分にとって、どれほど大切なのかを具体的に伝える。「わかっているはずだ」などと思ってはいけない。わかっていても、口に出して言ってもらえばうれしいものだ。相手の人となりを知る努力を続けよう。信頼は深まり、よい関係が長続きするようになる。
友だちの話は先入観をもたないで聞き、前向きに受け止める。頑張っていることを応援し、励ます。メンターになる。そこまでいかなくても「いつでも暖かい言葉をかけてくれる」と頼られる人になる。
家族や友だちに、これを実践し続けよう。職場では、誰かがすばらしい仕事をしたときに「真っ先に気づいてくれる」と言われるようにする。一緒に仕事をする相手や、付き合いのある人について、つねに新しいことを知ろうとする。顔見知りはもちろん、初対面の人のバケツにも水を注ごう。
そうすれば、あなたのまわりに人の輪ができるだろう。(90〜91ページ)
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訳者のあとがきでも「あふれる水は、生命力の象徴。豊かさを感じさせます」と書かれています。
「心のなかのバケツが現実のバケツと違うのは、相手のバケツに水を注いだからといって、自分のバケツの水が減るわけではなく、逆に増えるところ」というのがいいですね。
以下が原本です。
"How
Full Is Your Bucket?"
Positive Strategies for Work and Life
By Tom Rath and Donald O. Clifton
『幸運を引き寄せる朝の習慣』(2012.2.12 tanakomo)
久しぶりに本から呼ばれた(「買って、買って」って「僕を買うといいことあるよ」って呼ばれた)本です。
朝は大事だってことはわかってるんですけどね。やっぱり朝早く起きることは気持ちがいい。
まずは表紙の言葉から、
「朝を大切にすれば、人生が変わる」
「確実に運がよくなる59の魔法」
次に裏表紙から、
朝早く起きれば、命を輝かせることができる
朝に何をするかで、人生は決まります。朝は1日のスタートであり、1人の時間を意識して確保し、人生についてワクワク考えるといいのです。1日3分で、1年間で18時間もの「人生戦略作戦タイム」をもつことができるのです。この他に「朝の光で目覚める」「グレープフルーツの香りをかぐ」など、すぐにできて、幸せを引き寄せる59の朝の習慣を紹介しています。
そうなんですよね、この本のいいところはとても具体的なことが書いてあること。そして、それもすぐその気になれば実行できるようなことばかり。
こういった啓発本の特徴として、見開き2ページでひとつのテーマでとても読みやすいです。
なかなか朝早く起きられない人、三日坊主の人、ぜひこの本を参考にするといいと思います。
Wilferd A. Peterson “The
Art of Living Treasure Chest” Simon and Schuster NY, 1977
ウィルファード・A・ピーターソン『生き方の技術 とっておきの
(2012. tanakomo)
もう原版も日本語訳も古本屋さんでしか手に入らないので、書籍情
今日紹介する本は、先日娘の高校の卒業式で校長先生のスピーチに
なんか校長先生がウィル何とかっていう人の言葉だって言ってた気
さて、本の内容ですが、少し訳者の序文を紹介します。
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パスカルのように「葦のごとき」とはいわないまでも、人間という存在は決して強い存在ではない。つ
ここに訳出したー(本の原題省略)ーは、こうした人間の心の希い
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本の中身はたとえば、
The Art of Giving(与える技術)
The Art of Traveling(旅する技術)
といった具合に全部で75のエッセイが、散文詩のような体裁で、
訳された内容もさることながら、原文(英語)がとても美しい。早
最後に、この本の中に書かれているわけではありませんが、校長先
「地上の生あるもののうち、人間だけが自分の生き方を変えること
『正負の法則』(2011.7.4 tanakomo)
この本は本田健さんが翻訳して紹介している本です。
人生はプラスとマイナスでできているので、いいことばかりあるわけじゃないし、悪いことばかりがあるわけじゃない。
いいことがあったらその分悪いこともある。なんて書くととても陳腐な話ですが、それが同時にある、といったらどうですか。
いいことが起こったときはその釣り合いをとろうとして悪いことが同時に起こっているわけです。
だから、いいことも悪いことも達観しその真ん中にバランスをとって生きることが大事なわけですね。